近代登山の父・ウェストンの功績しのぶ 上高地でウェストン祭
日本アルプスを世界に紹介した英国人宣教師のウォルター・ウェストンをたたえ、登山文化の継承と発展を祈る「第78回ウェストン祭」(日本山岳会主催、同信濃支部主管)が2日、長野県松本市安曇上高地のウェストン碑前で開かれた。あいにくの雨の中でも約200人が訪れ、安曇小学校の児童らによる合唱や、登山家で日本山岳会永年会員の今井通子(みちこ)さん(82)=東京都世田谷区=の講演に耳を傾けた。 日本山岳会信濃支部の東英樹支部長(75)は「雨の中これだけ多くの人が集まったのもウェストンのなせる業。業績を振り返りたたえ、後世に残したい」とあいさつした。安曇小6年の児童2人がウェストンのレリーフに献花し、同校の4~6年の児童12人と女性の山岳愛好会・エーデルワイスクラブの元会員6人が「ウェストン祭の歌」をささげた。昭和38(1963)年に開かれた第17回の同祭で詩人・尾崎喜八が詠んだ『上高地での朝の感慨』と題した詩の朗読もあった。今井さんは講演で、欧州三大北壁を女性として初めて完登するなどのこれまでの経験を振り返り、「登山の楽しみ方はいろいろある。人と比べるのではなく、自分の技量に合わせて楽しんで」と呼び掛けた。 献花をした安曇小の児童は「自分たちもウェストンのように上高地の良さを伝えられるといい」と話していた。
市民タイムス