ソフトバンクも撤退、ジョコウィのレガシー「インドネシア首都移転」の資金難
新首都への移転はインドネシア独立100周年にあたる2045年に完了する計画だ[新首都ヌサンタラの中心となるゼロ地点=2022年10月23日](hendra yuwana/shutterstock)
インドネシアの首都移転計画はジョコ・ウィドド大統領(通称ジョコウィ)が2019年に発表したものだ。新都市の名称「ヌサンタラ」は「群島」という意味で、世界最大の島嶼国・インドネシアを象徴する名前といえる。インドネシアのほぼ真ん中にあるカリマンタン島東部の森林などを切り開いて新しい首都を建設する計画だが、計画されている約25万ヘクタールという面積は東京都の広さ(約21.9万ヘクタール)に匹敵する。環境に配慮した「グリーンシティー」を標榜し、IT技術を導入したスマートシティーを目指す。 この移転計画について、当初は懐疑的な声も多かった。ヌサンタラが位置するカリマンタン島の東部はいわゆる「僻地」であり、仕事の関係でもなければ訪れる人は限られる。タイやシンガポール、ベトナムといったASEAN(東南アジア諸国連合)主要国からも離れているため、「国内の経済循環の刺激にはなるかもしれないが、インバウンドなどの取り込みは難しい」(航空関係者)といった懸念も出ていた。 それでもジョコウィ大統領が首都移転計画を決定したのには、いくつか理由がある。
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竹谷栄哉