美肌か?健康か? パリ在住ブロガー、フランスで冷奴を食べて実感したメリット、デメリットとは
しかしここで、問題が発生する。多くの豆腐や豆乳好きな女性が抱える悩みだと思うが、生理周期が狂うのである。 私の場合には普段よりも2カ月近く遅れるという、わりと深刻な事態に陥った。しかし婦人科を受診するまでもなく、豆腐をやめればすぐに元に戻る。そして豆腐をやめれば「自分史上最高に美しい肌」も失われる。 もちろん、肌だって大事なのだけど健康はもっと大事だ。ところが無駄にポジティブなところのある私は、しばらく豆腐を控えたあと「今度は大丈夫なのでは」と根拠なく思い始め、また濃密な豆腐摂取期間をスタートさせてしまう。もちろん「今度は大丈夫」なんてことはなく、予想通り生理周期が狂う。そうしてまたしばらく豆腐をやめては、「今度こそもしかしたら......」と性懲りもなく繰り返してしまうのだ。 豆腐の美肌効果は、イソフラボンが体内でエクオールという物質になり、これが女性ホルモンのエストロゲン様作用を持つため肌が美しくなるという仕組みのようだ。しかしイソフラボンが体内でエクオールとなるかどうかには個人差があり、作られない体質の人にとってはあまりイソフラボンの恩恵は感じられないという。私はもしかするとけっこう作られる方の体質だったのかもしれない。 だが大豆アレルギーの心配もあるわけだし、豆腐だけを大量に食べる生活は健康のためにも続けられない方がよいのかもしれない。そう思ってある日私はいさぎよく豆腐の大量摂取をあきらめ、毎日少しずつ食べるにとどめることにした。健康を維持しつつイソフラボンの恩恵を受けるには結局のところこれしかないのだろう。 ただひとつ不思議なのは、この「豆腐大量摂取」を日本でやろうとしたときには、フランスで実行したときほどの効果を感じられなかったことだ。何度か試してみたが、まるで自分自身が豆腐になったかのような美肌効果はなく、生理周期が少し狂うだけだった。また、フランスで買う豆腐も麻婆豆腐や揚げ出し豆腐などに調理して食べるとそこまでの効果がない。いま思ってみてもあれは、フランスで買う豆腐を「冷奴」で食べるときだけの、限定的で特殊な現象だったのだ。
text: Shiro