グローバル企業AI投資のROIは250%、生成AIがAI投資全体を底上げする触媒に
ChatGPTの週間アクティブユーザー数1億人も、企業は慎重なアプローチ
ChatGPTは2023年11月末に登場、短期間で月間アクティブユーザー数1億人を達成し世間を驚かせた。2023年11月には週間アクティブユーザー数が1億人に達しており、ユーザーベースは着実に拡大している。 この大きな波に乗り企業でも短期間で生成AI利用が普及しそうなところだが、Menlo Venturesは上記の調査結果を踏まえ、クラウドのときのように、企業におけるテクノロジー適用は緩やかなものになる可能性があると指摘する。 クラウドは登場してから約10年かけて企業におけるソフトウェア支出の30%を占めるに至った。生成AIもクラウドと同様の道筋を辿る可能性が高いという。 ただしモバイルが9年ほどで企業での導入率80%を達成したことを考慮すると、より強気のシナリオもあり得ると述べている。強気のシナリオでは、10年後には、通常シナリオで15年ほどかかる導入率約50%を達成する可能性がある。 今後、生成AIは垂直展開と水平展開の2軸で多くのアプリケーションが登場すると見込まれる。 垂直展開とは各領域に特化するアプローチ。産業別でみると現時点では、広告・マーケティングと法律分野がともに生成AI導入率10%でトップだ。これら2つの領域で、特化型の生成AIアプリケーションがさらに増える見込みだ。このほか現在導入率5%のコンサルティングや4%の教育分野でも生成AIアプリケーションの増加が予想される。 一方、産業を横断する水平展開アプリケーションも増える見込みだ。この水平展開では、Gメール、Notion、エクセルなど既存のITツールを横断しつつ、自律的にアクションを実行するAIエージェントが活用される公算が大きい。 Menlo Venturesの企業における生成AI投資の調査結果は、ブルームバーグの分析と軌を一にするもの。ブルームバーグは、2022年の生成AIソフトウェア市場の規模(収益ベース)を14億9,300万ドルとし、今後2032年まで年率42%で成長すると予想している。この生成率を適用すると、2023年の生成AI市場の規模は21億2,000万ドルとなり、Menlo Venturesが算出した2023年の生成AI投資額である25億ドルと近い値になる。 ブルームバーグは、2032年に生成AIソフトウェア市場の規模が約2,800億ドルに達すると予想している。これは2022年比で187倍の市場規模だ。
文:細谷元(Livit)