グローバル企業AI投資のROIは250%、生成AIがAI投資全体を底上げする触媒に
生成AI投資はこれから本格化
2023年11月に発表されたもう1つのレポートでも、企業のクラウド投資全体の中で、生成AIの比率は依然として小さなものであることが報告されている。 このレポートを発表したのは、OpenAIの主力対抗馬であるAnthropicや生成AIインフラ企業の1つPineconeなどに資金を投じているベンチャーキャピタル、Menlo Venturesだ。 同社は米国と欧州における企業の経営幹部450人以上を対象に生成AIに関する取り組みや投資動向を聞いた。 調査の結果、2023年の企業の生成AI投資額は25億ドルと推計され、4,000億ドルといわれるクラウド投資全体のうち1%未満であることが分かった。一方、広義のAI投資(コンピュータビジョンやディープラーニングなど)は700億ドルで、クラウド投資全体の18%を占めた。 生成AI投資は、現在クラウド投資全体の1%未満という状況だが、上記IDCのレポートと同様にMenlo Venturesの調査でも、生成AIが企業におけるAI投資やAI利用を加速させる触媒になっていることが示された。 Menlo Venturesによると、2018年から2022年にかけて、何らかの形でAIを活用している企業の割合は40%後半で推移しており、拡大することもなく停滞状態が続いていた。しかし生成AIがトレンドとなった2023年、この割合は前年の48%から8ポイント上昇し、56%に増加したのだ。 また2023年のテクノロジー投資全体の投資成長率が5%にとどまる中、AI投資は8%増加し、IT投資の中でもAIの優先順位が高まったことが示唆される結果となった。推計される生成AI投資額25億ドルは、コード生成AIであるGitHub CopilotやAIモデルプラットフォームHuggingFaceの利用などに充てられた模様。 現時点では生成AIを利用する際、自社で開発するのではなく、購入を選択する企業が多いことも判明。調査対象となった経営幹部のうち、80%が生成AIソフトウェア利用する際、サードパーティのソフトウェアを購入すると回答している。