カネなし、コネなし、地盤なし…それでも上位で初当選 25歳の3人は地下アイドル兼職、内定辞退…「なり手不足」の地方議員、何が出馬に駆り立てた?
4月の統一地方選では各地の市町村議会議員を選ぶ選挙も行われ、多くの新人議員が誕生した。中には当選に不可欠な3要素とされる「地盤、看板、かばん(資金)」を持たず、リスクを承知で挑んだ若手もいる。地下アイドルとの「兼職」や、就職の内定を辞退しての立候補…25歳で初当選した3人の思いに同年代の記者が迫り、「なり手不足」の世界を覗いてみた。(共同通信=牧野直翔、浦郷遼太郎、折原恵理) ▽香川県東かがわ市議選で当選した淀紀清(よど・きすず)さん(25) 淀さんは主に香川県で活動する地下アイドルグループ「MEiSM(メイズム)」のメンバー兼プロデューサーで、これまで政治には全く関心がなかったという。ステージだけではなく街頭にも立つと決めたのは、アイドル活動に通じる「地元を盛り上げたい」という思いからだった。 ▽塾の先生から突然の誘い ―立候補する前は何をしていましたか。 アイドルです。高校3年の時に友人に誘われて高松市にアイドルのライブを見に行き、感動してその友人とアイドルユニットを結成したのが最初です。2022年にメイズムを発足させました。現在は私自身もパフォーマンスをしながら、運営会社の社長としてプロデュースもしています。
―何で政治家になろうと思ったのでしょうか。 中学生の時に通っていた学習塾の先生からある日急に電話が来て「紀清、選挙出ない?」と声がかかったんです。全く政治に関わりがなかったので「え、選挙?」と驚きました。聞くと、当時47歳で最年少だった東かがわ市議が「この歳で最年少は恥ずかしいんや」と若手を探していたそうです。 私の周囲はそもそも市議会の仕組みからよく分かっていなくて、私自身も定期的に実家に届く議会だよりを読むくらいでした。でも政治が好きな人や詳しい人だけではなく「いろいろなジャンルの人がいてもいいのかな」と思ったのが出馬を決めた理由です。 ―女性として議員になることについてはどう思いますか。 東かがわ市で育った友人たちは、結婚や就職と同時にみんな高松市に出て行ってしまいました。高松からはプチ旅行くらいの距離ですが、のどかでほどよく住みやすいのが東かがわの魅力。実家もあるし、私はここで子育てしたい。