カネなし、コネなし、地盤なし…それでも上位で初当選 25歳の3人は地下アイドル兼職、内定辞退…「なり手不足」の地方議員、何が出馬に駆り立てた?
▽京都府八幡市議選で当選した寺田圭佑(てらだ・けいすけ)さん(25) 寺田さんはサラリーマン家庭に育ち、大手企業から内定をもらい、4月からは東京で働いているはずだった。知り合いの選挙を手伝う中で若手議員の少なさに衝撃を受け、「閉塞感を打ち破ってほしい」という地域の期待を背に「新卒議員」に挑戦し、2位で当選を果たした。立候補のこと、ぎりぎりまでご両親に言えなかったのだとか。 ▽「新卒ブランド」手放すことへのためらい ―立候補のきっかけは何だったのでしょうか。 アルバイト先のご縁で、2019年の統一地方選や2021年の衆議院選挙を手伝ったことがきっかけです。2021年11月に正式なオファーを頂きました。在学中に大手の不動産会社から内定をもらって、春から東京に行こうと考えていました。僕にはキャリアがないし、新卒というブランドを手放してまで議員を目指して大丈夫なものか、とても迷いました。
―何が後押ししたのですか。 選挙の応援でポスター貼りやビラ配りをしていると、住民の方が話しかけてくれるようになって、「あんたみたいな若いのが出ればいいのや!」というお声をたくさん頂きました。「閉塞感を打ち破ってほしい」という期待を寄せてくれるなら議員という選択肢も面白いのかもしれない、挑戦してみようと考えるようになりました。 親の転勤で、幼い頃から北海道、福岡県、インド…、と転々としてきて、地元という感覚がよく分からないんです。地域の皆さんと話す機会が増えて、土地に愛着が湧いたのも大きいです。 立候補すること、両親には言えていませんでした。最後に会った時には、会社の内定を断ったというのだけ伝えました。それだけでも「決める前に相談しろ」と怒られました。ところが、3月末に母から突然「あんた選挙出るらしいやん」とLINE(ライン)が来ました。父は反対すると思っていましたが、当選後「町のために、真面目に頑張れ」とメッセージをくれました。無事、就活に成功した気分です。