森永卓郎流・仕事で幸せになる方法 「資本の下僕になるのではなく、一人ひとりがクリエイティビティを発揮し、仕事をアートに」
必ず滑るが、黙るより滑ろと教え込む。このことによって何事にも動じない強い心が養われ、例えば入社面接で緊張せず実力を発揮できるのはもちろんのこと、社会のあらゆる場面で強い心を武器にして生きていけるのだ。 ただモリタクイズムを叩きこむのには時間がかかる。 2年生の春学期はプレゼンテーション能力向上に集中して取り組むので、ゼミ生が入ってくる4月から半年はどうあっても生きて活動していたいと思った。 2024年は上級生の全面協力で、完全なマンツーマン指導を行って育成したので、過去19年の中で新入生の育成が一番うまくいったと考えている。 ただ、20年近く教員を続けてきて、ようやくわかったことがある。 私の最終目的は、一人ひとりの学生が、独自のクリエイティビティを発揮して、自由に生きられるようにすることなのだが、クリエイティビティそのものを教えることはできないのだ。 教員ができるのは、プレゼンテーションの技術を高め、それを発表する舞台を用意するところまでだ。
実際、私のゼミの3年生には、毎週一人ずつ、100分間の発表の舞台を用意している。 その時間は、何をテーマに、どんな発表をしてもかまわない。ただ100分間、他のゼミ生を楽しませることができるように、企画、台本、演出などすべてを自分一人でやらないといけない。 人生のなかで、そうした舞台に立てるチャンスは、そう多くない。 しかし、そこでどれだけのパフォーマンスができるのかは、あくまでも本人の興味と努力にかかっている。 何に興味を持つかは、個人ごとに異なる。外から興味を与えることはできない。興味があれば、努力はあとからついてくる。 この事情は、大人でもまったく同じだ。何をすれば楽しい仕事になるのかは、外からは分からない。 だから、一生続けられる仕事がみつかっていない人は、まずいろいろなことにチャレンジしてみることだ。そうすれば、自分がやりたいことが自ずと見えてくるだろう。 これが私の仕事における終活の全貌だ。