インテル、ナイキ、ディズニー…凋落した巨人たちが「復活」すると信じる理由
エスティ ローダー
一見すると、エスティ ローダーの時価総額が3年間で75%下落したのは中国のせいだと考えやすい。しかし、エスティ ローダーはパンデミック前、ロックダウン中、そしてパンデミック後もその説明を使っていた。 一方で、世界の美容市場は比較的堅調で、2022年から2023年にかけて10%成長した。中国の美容市場は大幅な値引きの中、わずか3%の成長にとどまった。エスティ ローダー、ロレアル、資生堂はいずれも最近中国で苦戦しているが、中でもエスティ ローダーの苦戦が最も顕著だ。 しかし、景気の悪化が自動的に高級ブランドにとって悪いニュースになるわけではない。「口紅効果」という理論がある。これは、経済の下降期には、予算の限られた消費者でも小さな手頃な贅沢品に浪費するというものだ。そうした購入が人々に大きな出費をせずに贅沢な気分を味わわせてくれるからだ。 問題は、予算に敏感な中国の消費者が高級品に飽きたのかではなく、エスティ ローダーに飽きたのかだ。「ヴォーグ」誌によれば、後者のようだ。Proyaは10億ドルの売上高を達成する最初の中国の美容ブランドになる見込みだ。中国の美容ブランドFlorasisはパリに最初の店舗をオープンする。D2CブランドのUniskinは上海に初の実店舗をオープンした。 HBOの『メディア王』は、権力、富、家族の機能不全の本質を捉えた現代のシェイクスピア的ドラマだった。表向きはルパート・マードックについての物語だったが、サムナー・レッドストーンや、エスティ ローダー家についての物語でもあり得た。エスティ ローダー家は同社の35%を所有し、議決権の80%を支配している。 結局のところ、これは中国や分散化への対応についてではなく、家族王朝の脆弱性についてなのだ。そうしたダイナミクスはテレビドラマとしては良いが、株主価値にとっては最悪だ。 ナイキと同様、エスティも重要なトレンドを見逃し、多様な小規模ブランド(ロングテール・ブランド)にあらゆる面で追い上げられている。