緊急事態宣言は5月6日に終わる? 専門家「小さな山繰り返すこと覚悟を」
●「7割」なら2か月かかる
政府の「8割削減」目標の根拠となる試算をしたのは、厚生労働省のクラスター対策班メンバーで北海道大学教授の西浦博氏だ。 西浦教授は9日、東京都の小池百合子知事が平日夕方に感染状況などを伝えるYou Tube番組に出演し、「(削減幅が)8割だとだいたい1か月で物事が終わるのに対して、7割だと2か月程度かかってしまう」と述べ、「宣言」の5月6日までに感染を抑制させるためには、あくまで「8割削減」が必要だとの認識を示している。
●下火でも「感染ゼロ」はない
新型コロナウイルスの感染拡大を受けた首相会見は、7都府県に「緊急事態宣言」を発令した前回7日の会見から、政府の諮問委員会会長で、専門家会議の副座長も務める尾身茂氏が同席している。 感染拡大防止のめどは1か月でつくのか。5月6日までに設定されている「宣言」は延長されることはないのか。 米ハーバード大学の研究チームは、医療崩壊を避けるためには、人と人との距離をとる「ソ-シャル・ディスタンシング」といった措置を「2022年まで断続的に維持する必要があるかもしれない」とする予測を発表し、日本でも報じられている。 新型ウイルスとの闘いが「長期戦になる」ことに触れた安倍首相は、かつて世界で大流行したスペイン風邪(1918年~1920年)の事例を持ち出し、「いったん収まった後に再び感染が拡大した教訓にも学ばないといけない。今から断定的なことは言えない。専門家の意見を踏まえて判断する」と慎重に回答した。 尾身会長は「今見ている(感染)報告数は2週間前のもの。(感染者数の推移を示す)いわゆるエピデミックカーブ(流行曲線)が、当初に比べてそのまま平坦なのか、下がらないのか、下がっても期待するような下がり方をするのか。まだ評価するのは早すぎる。5月6日頃にはだいたいのことが言える。その評価をもとに政府に提言したい」と説明した。 その上で、5月6日までの取り組みの結果がどうであろうと「今の時点で間違いなく言えること」があると国民に語りかけた。 「感染が仮に下火になっても、その後、全くゼロになるということはあり得ない。小さな山がまた何度か繰り返してくるということは、当分覚悟をしておいた方がいいと思う」