CITY FOOTBALL ACADEMY

　CITY FOOTBALL ACADEMYは、学校法人栃木シティ学園が2023年4月に栃木県栃木市に開校したサッカーの専門学校だ。日本フットボールリーグ（JFL）に所属する栃木シティフットボールクラブ、日本フットサルリーグ（Fリーグ）1部のしながわシティフットサルクラブの育成組織でもある。各学科とも2年制で、プロフットボール学科、フットボールビジネス学科、マネージャー／ホペイロ学科に約50人の学生が在籍し、サッカー界やフットサル界での活躍を胸に秘め、就学と練習に励む日々だ。 【フォトギャラリー】CITY FOOTBALL ACADEMYプロフットボール学科 　学園の大栗崇司理事長は「サッカー、フットサル界で即戦力となるプロの人材、世界を視野にグローバルな環境で活躍できる人材を育成し、業界の発展と地域社会の活性化に寄与したい」と開校した目的と意義を説明する。 　校舎はJR両毛線の栃木、岩舟両駅から車で10分～12分。旧栃木市立小野寺北小学校を活用し、サッカーとフットサル専門学校に適した環境に改修した。各学年、各学科別の教室や大講義室、体育館のほか図書館やカフェテリア、筋トレルームなどが完備され、校舎内を見渡しただけでも設備の充実さに驚かされる。 　各学科とも2年間の教育プログラムを編成し、1年生は学内授業に主眼を置く。プロ選手を目指すプロフットボール学科のカリキュラムを見てみると、社会人常識マナーや会計学、栄養学、英会話、パソコンの基本操作といった授業が火曜日から金曜日までびっしり組まれている。これによってプロ選手として、社会人としての心構えを習得できる。 　直井規男学科長は「プロになれば個人事業主ですからお金の管理をできないといけませんし、海外進出を考えた時に英語ではなく英会話をマスターしておきたい。一人暮らしの生徒が多く自分で考えながら食事しているので、栄養学も取り入れました」と説明する。現在自宅通学は1、2年生合わせて6人で、大半が一人暮らしだ。 　フットボールに関するものはコーチング論をはじめ、戦術理論やゲーム分析、ルール講習、スポーツ外傷基礎知識と専門科目がめじろ押し。 　午後は基本的に2時から4時50分まで経験豊富な指導陣の下、練習と筋トレを行い、土・日曜日はトレーニングマッチか公式戦を実施する。 　教員、講師、コーチは各分野で活躍してきた人たちばかりだ。中学教師やJリーグクラブの運営担当やマネージャー、トレーナーをはじめ、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会従事者、強豪フットサルチームのGKコーチとJリーグチームの分析担当といったように、顔触れは多士済々である。また外部講師には、“デカモリシ”の愛称で人気を博した栃木シティOBで、元日本代表FW森島康仁氏も名を連ねる。 　2年生になると学内での講義は減り、主に実技系のトレーニングをこなすメニューへと変わる。それでもコーチング論や英会話は継続され、パソコンの授業はパワーポイントなどの応用編に移行し、ビジネススキルの科目も導入される。 　埼玉県出身で副主将の船橋勇人さん（2年）は、元日本代表GK川島永嗣を輩出した浦和東高校の卒業生で、ポジションは同じくGKだ。埼玉県内の自宅から電車で通学する。 　柔道整復師になるための専門学校に進むことを検討していたが、高校時代のGKコーチから栃木シティ学園の存在を聞いて入学。「授業を受けるたび、自分の考えと指導者の意図をいろんな角度から意識するようになりました。英会話などを学べるのはとても有意義で、一生懸命取り組んでいます」と話した。 トレーニングについては「高校時代とは環境と練習時間が決定的に違い、C級コーチ・キッズリーダーという指導ノウハウの講義を受けた後、それをピッチで実践するのはとても楽しかった」と興味深かった授業のひとコマを紹介した。 　既にJFLや関東リーグのチームの練習会に参加。「この学校に入ったからには必ずプロになれるよう、残りの期間も努力したい」と意気込みを示し、「持ち味はシュートストップとビルドアップです。同じ左利きで浦和レッズの西川周作選手が目標」と自己アピールした。 　直井学科長はプロフットボール学科の生徒について「石にかじりついてもプロ選手になりたいという強い意志があれば、生活面も見直すようになるはずです。入学して2年後には社会に出るわけですから、自覚を持たないといけない。私たちは本気でプロを目指してほしいということを伝え、プロとしてどうしていきたいのかを真剣に考える手助けをしたいですね」と指導者としての使命をこう述べた。 　森島外部講師は「栃木シティもJFLに昇格したばかりだが、上位で頑張っている。学生さんもここで努力すればプロになれるんだ、という思いをしっかり持ってほしい」と在学生に力強いエールを送った。　　　　 (文・写真＝河野正)