ラグビーコラム 早くも混戦模様のリーグワン 新しいことが始まる巳年に新王者誕生なるか
【ノーサイドの精神】あけましておめでとうございます。2025年になりました。ラグビー界は高校、大学が佳境に入り、リーグワンも開幕してにぎやかだ。 そのリーグワンだが、筆者は何度か、今季の1部は混戦になると書いてきた。自画自賛するわけではないが、序盤から混戦のにおいが強く漂っている。 第2節を終えて全勝は4チーム。BL東京、埼玉、静岡、三重だ。BL東京と埼玉は昨季の優勝、準優勝チームだが、静岡は8位、三重にいたっては11位で入れ替え戦に回った。今季は開幕節でBR東京を23-21、第2節ではトヨタとの〝東海ダービー〟に21-17と、しぶとく勝ち切った。昨季の序盤2試合は神戸に15-80、東京ベイに0-75と大敗を喫していただけに、大進歩。ここまでの混戦の演出者といっていいだろう。 特にトヨタには32年ぶりの勝利で、2季目のキアラン・クローリー・ヘッドコーチ(HC)は「2試合とも負けている状況からの逆転勝利だったので、フィットネスのところが大きく変わってきた」と手応えを口にした。 逆に昨季4強の2チーム、東京SGと横浜が開幕2連敗というのも予想外ではあった。ここまでの1部12試合で、負けたチームが7点差以内のボーナスポイントを獲得したのが7試合。そのうち4点差以内が6試合もある。スコアの点でも、半数の試合がどちらに転ぶか分からないものだったわけだ。 今季はレギュラーシーズンが2試合増の18試合という長丁場。後半にさしかかれば各チームの〝体力〟が勝負を分けることになるだろう。そういう意味では、BL東京が第2節の相模原戦に前半から大きくリードしたことで、重要な場面では必要不可欠な主力2人、SOリッチー・モウンガを前半だけで引っ込め、NO・8リーチ・マイケル主将を後半20分で交代させることができたのは、大きな戦略的勝利だった。トッド・ブラックアダーHCが「これ以上求めることができない素晴らしい一日だった」と口元を緩めたのも、むべなるかなである。 さて、今年は巳年。ヘビは脱皮をすることから「復活」と「再生」を意味し、新しいことが始まる年ともいわれる。リーグワンも新しい王者が生まれるのか、6月1日の決勝を楽しみに待ちたい。(田中浩)