Hakubi主催『京都藝劇 2024』オフィシャルレポート 片桐「ここにいたことを、絶対に誇りにさせてみせるから」
Hakubiが主催するライブイベント『京都藝劇 2024』が、8月10日に京都・KBSホールで開催された。 【全ての写真】計10組が出演した『京都藝劇 2024』(全13枚) 2019年に始まり通算5回目となる今年は、右近ステージにHakubi、神はサイコロを振らない、SHE'S、Maki、yutori、左近ステージにクレナズム、35.7、TETORA、hananashi、Brown Basketと、過去最大の計10組が出演。昨年は地下にあった左近ステージが地上に移動するなどレイアウトが変更され規模感もアップ。 イベント前日には片桐(vo/g)がXで、「先輩たちの背中を追いかけて同じことじゃなくてHakubiらしいイベントを作ろうと考えてきた一年でした。大好きで、少しうらやましくて、尊敬している最高のバンド、アーティストを京都に迎えての京都藝劇。この時代を刻みたいと思います」と意気込むなど気合十分で、左近ステージのhananashiから年に一度の宴が幕を開けた。 ■右近ステージ:hananashi これぞスリーピースロックバンドな飾らないサウンドで「明日は」をかき鳴らし、「毎年恒例のHakubiからの手紙にマツイ(ユウキ・ds)が、“hananashiのライブを見るとクゥ~!ってなる”って書いてあったんで、その“クゥ~!”をみんなに味わわせて帰ります(笑)」(木村健人・vo/g、以下同)と宣言したhananashi。言葉の一つひとつが胸に飛び込んでくる「セイタカアワダチソウ」「ナイトクルージング」でも、有言実行のグッドメロディを響かせる。 「『京都藝劇』は華やかなバンドも熱苦しいライブも見ることができるし、いろんなバンドとか音楽の可能性を感じられるイベントやと思います。俺たちの思うその最高の瞬間を届けて帰れたらと思うのでよろしくお願いします!」 2022年以来2年ぶりという時間は爆発力だけではない説得力を「Guitar」に備えさせ、「同じ京都の仲間として、ライバルとして、俺たちやBrown Basketを呼んでくれたり、毎回TETORAを呼んでるところとか、すごく人間らしいバンドやと思ってます。最後にあいつが歌うとき、上手な歌じゃなくて、感情が高ぶってブレブレになってる歌が聴ければ……俺たちでそういう日にしたいと思ってます!」と宣戦布告したオルタナティブな「染める」、絶叫しながら疾走する「少し先から」、「クゥ~ってなりました? それを感じたい人はまたライブハウスに来てください」と再会を約束した「ato」まで全7曲。前回同様トッパーを担いながら、そこで鳴る音はすごみと重みを格段に増していた。 ■左近ステージ:yutori いきなりHakubiの「光芒」をワンフレーズ歌い上げるドラマチックなオープニングで、佐藤古都子(vo/g)の圧倒的な歌力に爆上がり。またたく間にKBSホールを掌握したyutoriは、キレのある演奏としなやかなボーカルが一体となり、「安眠剤」「君と癖」とこれがyutoriの真骨頂と言わんばかりの世界観を築いていく。 「『京都藝劇』に呼んでくれてありがとう! 私は生まれが京都で、古都=京都で生まれた子と書いて古都子という名前なんです。京都でライブをするのは初めてなんですけど、すごく意味のある日だと思っています。今日をいい日にできるように、最後までよろしくお願いします!」(佐藤、以下同) スリリングかつポップなビートで攻め立てる「有耶無耶」、壮絶なグルーヴの渦に引きずり込む「ワンルーム」、エッジとポピュラリティを併せ持つ「ヒメイドディストーション」と、楽曲の多彩さとクオリティにうなるばかりだ。 「人と人の縁って簡単に消えちゃうものだから、私はあなたと何回でも同じ音を共有したいです。また私たちと会ってくれますか? 『京都藝劇』、初めて京都でライブする日がこの日で良かったです。いろいろなことがある世の中だけど、生きていればどうにかなるから」 ラストは「煙より」「巡ル」の2連発で一気に駆け抜け、プレイヤーとしての華とバンドとしてのケミストリーを証明した、yutoriの京都初ライブだった。 ■右近ステージ:35.7 現役大学生4人組ロックバンド、通称ゴーテンナナこと35.7は、冒頭の「うそうそほんと」「Hurtful」から溢れ出す衝動を音楽に変えて突っ走る! たかはしゆう(vo/g)のあどけなさとかれんさが共存する声質とキャッチーなメロディ、かみのはら(g)の耳を引くフレージングは、「すももドロップ」やバイラルヒットした「祝日天国」でも抜群に機能。初出演×初京都にしてまるで物おじしない姿は、シーンの注目度が高まる理由を示している。 「Hakubiは女の子でもカッコいいというのを忘れないでいさせてくれるバンドで大好きなんですけど、誰に何を言われるのかが大事だと思うんです。Hakubiには“35.7はいいね”と言ってもらえたんですけど、今日は行動でそう言ってもらえたようでうれしくて。それに応えられるように最後まで頑張ります」(たかはし) 「しあわせ」「バッドリピートエンド」で切々と思いを歌にしていく光景は、それだけで訴え掛けてくるものがある。最後は「eighteen candle」で飛んだり跳ねたりの大盛り上がり! 与えられたチャンス=京都での初舞台を、見事にやり切ってみせた35.7だった。