Hakubi主催『京都藝劇 2024』オフィシャルレポート 片桐「ここにいたことを、絶対に誇りにさせてみせるから」
■左近ステージ:Maki 「俺たちはつい15分前に着いたんですけど(笑)、このスピードに乗ったままやらせていただきます!」とは山本響(vo/b)。激情のスリーピースロックバンドの看板に偽りなしの音魂をぶちまけたMakiは、SEを流す時間がもったいないと缶ビールを開ける音で代行し(笑)、初っぱなの「ストレンジ」から全力疾走! 「ライブハウス最前線でやってます!」(山本、以下同)と語るのも納得でバンドマンイズムで熱狂するフロアを気遣いながら、「虎」では「一生懸命はカッコいいぜ!」と大合唱を導き出す頼もしさ。「斜陽」の曲間に何度もオーディエンスに呼び掛けるさまからも、愛するライブという空間でとにかく楽しんでほしいという情熱がにじみ出る。 「Hakubiと出会った当初によくやっていた曲」と放った「文才の果て」はエモさ満開で、「俺らは『京都藝劇』に出るのは2回目で。みんなHakubiが好きで、音楽が好きでここに来たってことでしょ? 横にいるヤツもそうだと思うぜ。他人じゃない。音楽好きしかいないこの空間、一緒に楽しもうぜ」といざなったのは「Lucky」。ゆったりとしたBPMのパワーポップに突き上げた拳が揺れる。 「片桐はすごい真面目なのよ、酒を飲むと結構ヤバいけど(笑)。ヤスカワアル(b)くんは酒を飲んでも変わらずカッコいい。マツイはゴミです(笑)。そんな風に言えちゃう友達でありライバルで。この後も死ぬほど楽しんで、笑って、いい音楽を聴いて帰ってください!」 「憧憬へ」「シモツキ」と一心不乱に突き進み、「あの日の歌を、ずっとライブハウスで歌ってます」と言い残し舞台を降りたMaki最強! ■右近ステージ:Brown Basket 近年はTETORAに次いで『京都藝劇』に名を連ねるBrown Basketは、まさにHakubiの盟友という関係性。同じ京都のバンドとして、年に一度の大勝負に何を残すのか? 「もうひと頑張り」から血管ブチ切れの熱演で、間髪入れずに「何者」をぶっ放し、「去年に引き続き3回目の『京都藝劇』、いこうぜ!」(岸本和憲・vo/g、以下同)と「ROLLING」へ。思わずシンガロングしたくなるメロディラインがBrown Basketたるゆえんで、「こころのこり」でもその魅力を存分に発揮する。 「年に一回の『京都藝劇』、久しぶりに会うからこそ分かるカッコ良くなってる部分とかブレてないところ、Hakubiのそういう芯のあるところが大好きです。Hakubiが、ライブハウスが好きな、今日という日を楽しみにしてきた君たちに」と捧げた「星になるまで」でも、一ミリたりとも余力を残さない熱量で己を燃焼させるBrown Basket。 「いつもあいつらは俺たちの少し先を行ってる。いろんなことがうらやましいなんて思わされる。でも、その影できっとあいつらは、たくさん努力をしたり、苦悩を乗り越えて、こうやってまた再会できた。お互い生き続けてきたから今日がある。やらなきゃならない状況になったら女も男も年齢も関係ねぇ。大切なのは己がやるべきときにぶちかませることだ。今日も負けたくないと思わせてくれてありがとう!」 クライマックスは「BY MY SIDE」「切に願う」と鉄板の2曲を投入。過去最高の拳の数に支えられたBrown Basketの、意地と前進を刻んだ強烈なステージだった。 ■左近ステージ:SHE'S ここからの3組は再び初出演のアーティストが続く。SHE'Sもその1組ながら、1曲目の「追い風」から自ずとクラップが沸き立つなど、『京都藝劇』との親和性は高い。海外の音楽シーンのトレンドをバンドに落とし込む手腕は一級品で、井上竜馬(vo/key)の奏でる鍵盤や同期も駆使し、ライブでも過不足なく楽曲を表現。躍動するアーバンなダンスチューン「Raided」や浮遊感漂うチルな「No Gravity」では『京都藝劇』の民を心地良く踊らせ、長丁場のイベントも半ばに差し掛かった時間帯にフィットしたパフォーマンスを展開。毎年、Hakubiのセレクトするラインナップの妙には感心させられるが、SHE'Sもその最たる例だろう。 「京都の皆さんSHE'Sです、初めまして! 今日は誘われてうれしい気持ちと、若手がいっぱいで俺らが最年長か……いやいや年齢なんてただの数字っていう(笑)。こうやって積み重ねていく中で、先輩後輩関係なく巻き込んで、いつかもっとデカいところで『京都藝劇』をやるんやろうなって思うし、その歴史の一ページに関われたことを誇りに思ってます。年上は年上らしく、音楽で語って帰ろうかと」(井上、以下同) 後半戦も、壮大で多幸感に満ちた「Kick Out」を皮切りに、促さずともハンズアップがKBSホールを包み込んだ「Grow Old With Me」、「『京都藝劇』のみんな、まだまだ元気は残ってますか? 最後に一つになろうぜ!」とトドメは祝祭の「Dance With Me」ともう完璧! 自らの役割をきっちり果たし、しっかり楽しませる匠の技で魅せたSHE'S、さすがです。