ウーバーイーツ労組が会見 事故実態調査へ(全文2)社会の怠慢のしわ寄せは配達員へ
ウーバーイーツに対する経済的従属性が強い
川上:弁護士の川上ですけれども、私のほうからちょっと補足なんですけども、そもそもウーバーイーツの配達をされている方はもっぱらウーバーイーツという、ウーバーというプラットフォームから配達の仕事の依頼を受けて配達をしているわけです。で、そうすると、かなりウーバーイーツに対する経済的従属性が強いわけですね。それにも関わらず、ウーバーイーツの配達中に事故にあって何かしらの損害を被っても一切保障がないと、それは労災保険制度の現状の不備であるというふうにウーバーイーツユニオンでは考えております。 そもそも労災保険制度、これがどういうふうに国の制度として発展してきたのか、この制度の趣旨というところにさかのぼると、企業は労働力を使って利益を上げていると、労働力に頼って利益を上げている場合に、その労働力に発生した危険についてはその利益を上げている企業が負担すべきだと、これが労災保険制度の趣旨で、発展してきたわけです。 そのときに、じゃあどういう人をその保険の対象とするのかとなったときに、労基法上の労働者と、労災保険法上の労働者は同義であるというふうにされて現在まできたと、労基法上と一緒に考えればいいじゃないかということできたんですが、そのために今、ウーバーイーツなりプラットフォームで働く人たちは労基法上の労働者にはちょっと当たらないよねということになり、自動的に労災保険の対象外とされてしまう。
コストは誰が負担することになるのか
でもここで、先ほど言った、労災保険の趣旨にさかのぼったときに、そもそもやっぱり現状の切り分け、基準がもうちょっとずれてきてしまっていておかしいんだということが言えると思います。なぜなら彼らはもっぱらウーバーイーツから仕事を得て、そこで働いているわけですから、もう厳然たる経済的従属性があるわけですよね。ウーバーイーツはその配達員に頼って利益を上げている。だけど配達員が事故に遭って重症を負った、もしくは死亡した、このときにウーバーイーツ、ウーバーという企業は一切コストを払わなくていいんです。これはどう考えてもおかしいんですね。 じゃあそこのコストは誰が負担することになるのかというと、現状では政府保障制度というのがあって、政府が補填することになるので、被害者の方たち、被害者にですね。そうするとそれは税金ですね。結局これはもうアメリカでもたくさんの論文が出ていますけれども、このプラットフォームという働き方が広がっていくと、こうした社会的コストの負担者というのが企業からどんどん国家と個人の肩に付け替えられていく、企業が社会的なコストを負担しなくなるという、そういうデメリットがあるわけです。 ここについてなんの、検討をして今までわれわれが作り上げてきた社会制度がプラットフォームっていう新しい働き方に対して捕捉できていないと、追いついていないんじゃないかっていう検証がまったくなされていないというのが現状の日本の制度なので、これに対して、例えばアメリカでは今月、1月1日からプラットフォームで働く人たちも含めて業務委託、個人事業主とされている人たちは一律、まずは原則、労働者として扱って、労災保険の対象にもしますという法律がアメリカのカルフォルニア州で州法がスタートして施行されていますけれども、アメリカでもこういうふうに対応はしている。それからフランスにおいては年間5100ユーロ以上を稼いでいるプラットフォームワーカーに対しては、このプラットフォームワーカーに対する労災保険はプラットフォーマーが負担するという法律が2016年にできています。片や日本では何もそういった社会制度の検証がなされていないと。