高橋文哉は何のために働くのか「自分のために頑張るだけでは限度がある」
田中圭から教わった一番の教訓
その先輩の一人が、今回の“相棒”である田中圭だ。2020年、ドラマ『先生を消す方程式。』で初共演。4年ぶり2度目の共演となる本作では、同じ運送会社で働く先輩後輩として息のあった掛け合いを披露している。 「あそこで笑ったと感想を言っていただけることが多くてありがたいのですが、僕としては笑わせようとか、このタイミングでツッコもうとか一切考えていなかったんです。もちろん考えることも大事ですが、自分のやりたいようにやって、どう受け取るかは受け手の自由でいいのかなと。何より圭さんに対しては、以前お世話になって、何をどうやっても拾ってくださるという安心と信頼がありました。なので、僕はもう好きにやらせていただきました(笑)。 一寸の狂いも許されない超絶技巧が求められる本作で、田中とのやりとりは高橋が自由になれる唯一の場だったのかもしれない。観客にとっても、一筋縄ではいかないストーリーテリングに翻弄されっぱなしの本作で、丸子と田中演じる荒川のシーンは、ほっとひと息つける癒しタイムとなっている。 「荒川とのやりとりで丸子として意識していたのは、居心地の悪さでした。二人のやりとりはちょっとズレていて、きっと丸子も荒川との間に多少の気持ち悪さを感じていたと思うんですよ。それが、丸子の素に見えたらいいなと。ある種の緊張感がずっと続く本作で、丸子にとっても荒川は自分の素を出せる場所。だからこそ、僕もできる限り素直に演じようとしていたのかもしれません」 2度目の共演で、先輩・田中圭から学んだことは、初共演の頃から変わらない人間としての基礎だった。 「圭さんって、いつもすごく声が大きいんです。今回、衣装合わせや本読みでお会いする機会がなくて、圭さんのインの日が久しぶりの再会になったのですが、僕が先に現場に入って、バスの中でメイクをしてもらっていたら、圭さんが以前と変わらない明るい声で『おはようございます』って入ってきて、思わず背筋がピクッと伸びました(笑)」 『先生を消す方程式。』では教師と生徒という間柄での共演だった。高橋にとっては、『仮面ライダーゼロワン』が終わって初めての連ドラ。まだ見る者すべてが新鮮な中、田中圭の現場の居方は、まさしく“師”となった。 「圭さんの明るい挨拶を聞いて、当時の記憶がばーっと甦ってきました。そうだ、圭さんはいつもこのテンションで現場に来ていたなと。圭さんはいつも明るくてパワフル。僕はどちらかというと朝が弱いので、もっと現場では元気でいなくてはと思わされました。どんなお仕事も、まずは元気な挨拶から。それが、圭さんから教えてもらった一番の教訓です」