【解説】習近平主席の思惑は… プーチン大統領訪中で友好ムードを演出
■歓迎ムード演出の理由 中国の“2つの変化”
森キャスター 「となると2つ目のポイントになりますが、これまでは、つかず離れず、両方にバランスをとってきた中国がなぜ、今回はロシアに近いようにみえる、歓迎しているようにみせているんでしょうか?」 柳沢記者 「そこには2つの変化があって、2つの変化がロシアとの距離感に影響を与えたといえます。1つがアメリカからの圧力の強化です。中国は国内経済が低迷していますが、中国としてはアメリカとの関係を改善して、半導体の輸出規制などの経済制裁を緩和してほしいというのが本音です。しかし、今週になってバイデン大統領は、中国政府の補助により過剰に生産された中国製品がアメリカの市場を脅かしているといて、電気自動車など中国からの輸入品に対する関税を大幅に引き上げる決定を下しました。これに中国は猛反発していて、ある中国共産党関係者は、『アメリカが予想以上に厳しく、中国製の自動車などを大量に輸入しているロシアと仲良くするしかない』とため息をついていました」 森キャスター 「アメリカとの距離があるからロシアと近づかざるを得ないということですね。この友好ムードを招いたもう1つの変化というのは、どんなのものなのでしょうか?」 柳沢記者 「もう1つの変化が、ウクライナ侵攻でのロシアの攻勢です。中国は水面下でロシアへの支援をずっと続けていましたが、ある外交関係者は、『習近平氏はロシアがウクライナ侵攻に失敗したら、一緒に中国もコケることになるのではと心配していた。それが、ここに来てロシアが戦いを有利に進めていると報じられていますし、プーチン氏も大統領選で圧勝したことで、状況が改善した』と指摘しました」 「つまり、習近平氏としては、プーチン氏の基盤が強まっていて、アメリカと対抗する上でも頼もしいパートナー、『今なら最大限、歓迎できる』と安心感を得たのではないかということです。中国は今回、友好ムードを最大限演出しているのですけれども、そこには苦しい中国の内情が透けてみえているといえそうです」