【解説】習近平主席の思惑は… プーチン大統領訪中で友好ムードを演出
日テレNEWS NNN
16日、中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領による首脳会談が行われました。友好ムードを演出する中国側にいったいどんな思惑があるのか、NNN北京の柳沢高志記者に聞きました。
■暗殺の可能性と中国のメンツ…街は厳戒態勢
森圭介キャスター 「中国・ロシアの首脳会談が行われた、中国・北京から中継です。今、両首脳はどんな様子なんでしょうか?」 柳沢高志記者 「まもなく、日本時間の午後5時頃から世界遺産である故宮の近くで両首脳は散歩をするとみられます。首脳会談が行われた人民大会堂からすぐの場所ですが、そこにあえて習近平氏自らがプーチン氏を連れて行くことで、友好ムードを演出しようという思惑です」 「そして先ほど共同記者会見が行われまして、習近平主席は『中露関係発展のカギは、お互いの核心的な利益をそれぞれが支持することだ』と強調しました。その上でウクライナ侵攻については『政治的な解決が正しい方向性であることに両国は同意した』とした上で、『中国が平和のために建設的な役割を果たす』との考えを示しました」
桐谷美玲キャスター 「北京市内は通常以上の厳戒態勢なのですね」 柳沢高志記者 「街にもいつも以上に増して警察官の姿が目立ちますし、私たち外国メディアは両首脳に近づくことすらできません。1つ驚きだったのは、プーチン大統領が現地時間の午前4時過ぎに空港に到着したことです。事前に発表もなくて、私たちも未明になってあわてて取材に出掛けました。これも、もっとも人や車が少ない時間帯を選んだ可能性もあるのではないかとみています。プーチン大統領には暗殺などの危険性もありますし、万が一何かあれば中国のメンツにも関わりますので、厳戒態勢も当然といえそうです」
■プーチン氏とは距離を置きたい? 中国側のジレンマ
森キャスター 「その厳戒態勢の中、プーチン大統領を迎えた中国側にいったいどんな思惑があるのか。2つのポイントを聞いていきます。1つ目は『習近平国家主席が抱えるジレンマ』、そして2つ目は『中国が歓迎ムードを演出する理由』です。まず、1つ目の『習近平国家主席が抱えるジレンマ』とはいったいどんなものなのでしょうか?」 柳沢記者 「習近平氏は、ウクライナ侵攻を始めたプーチン氏に対して国際的な批判が高まる中、『できればプーチン氏と距離は置きたい。だけど、ロシアがあまりに弱体化するのも困る』というジレンマを抱えています。欧米からは中国に対して『ロシアを支援するな』と繰り返しクギを刺されている一方で、プーチン氏は習近平氏へのいわば『抱きつき戦略』で中国に対する依存を強めています。欧米とロシアのはざまで苦しい状況にあるといえます」 森キャスター 「ロシアが弱体化するとなぜ、中国は困ってしまうのですか?」 柳沢記者 「中国は、中国主導で大国として世界各国とバランスよく付き合って『アメリカ一強の世界』を変えていきたい、習近平氏は、本音ではロシアや北朝鮮と一緒くたにされたくはないと考えています。ただ、ロシアがあまりに弱体化してしまうと、ヨーロッパでのアメリカの影響力は増して、『アメリカ一強』の世界となってしまう。だから、ロシアにも肩入れせざるを得ない状況です」