中国・習近平体制、いよいよ「終わりの始まり」か…軍の「個人独裁」連続批判に追い詰められた習主席が孤独な恫喝
抗争は激化する
以前、7月27日に、同じ「解放軍報」は、「党内政治生活の低俗化は戒めるべき」という論評の中で、「いま、個別なところでは党内政治生活が正常さを失い、個人は党組織の上に凌駕し、家長制的なやり方で、鶴の一声で物事を決めるようなことが起きている」と、独裁者の習近平主席を暗に批判した。今回の一連の論評はこの延長線の上でより露骨な習近平批判を展開し、さらに鄧小平時代の集団的指導体制を持ち出してそれを高く評価したところに注目のポイントがある。 習政権3期目に入り、ここまで習主席が引き上げた軍幹部の腐敗問題での粛清が続き、11月の党中央軍事委員会政治工作部の苗華・主任失脚で、制服組トップの張又侠軍事委員会副主席らの勢力が習主席の指導権を軍から排除することに成功した。 しかし、その後の12月の一連の解放軍報論評を見ていると、どうやら張副主席らは、習主席の指導権を軍から排除しただけでは満足しておらず、党の指導体制を鄧小平の集団的指導体制に戻すことによって、党全体に対する習近平個人独裁体制の終了を目指している模様である。 冒頭で紹介した、習主席の「恫喝」は、このような自分に対する攻撃への威嚇である。しかし、それに、どれほどの効果があるかは疑問である。問題は、張又侠氏らの軍の実力者たちたちはこのような恫喝を受けて、自分たちを守っていくためにはむしろより一層「反習近平」に走ってしまい、習主席と軍との対立がより深まって激化する可能性が十分にあることだ。 来年からの展開はまさに「楽しみ」である。 【さらに詳しく】中国の権力闘争が止まらない…習近平が文革を想起させる地で「軍への逆襲」始める中、李強が打って出た、まさかの「除習」行動
石 平(評論家)