「お客様に『共感』という付加価値を提供し、お客様の実感価値を追求する」:株式会社JTB 風口 悦子 氏
2023年はAIの年だった、と言っても過言ではないだろう。この新しいテクノロジーの出現と急速な発展は、拡大と変化と混乱が相まって形作られている、デジタル領域を象徴するような存在にも感じられる。 一方で、デジタルの未来は不透明だ。市場におけるすべてのプレイヤーが、先の見えないなかでいかに足場を固め、次のステップへと進めるのか模索を続けている。DIGIDAY[日本版]恒例の年末年始企画「IN/OUT 2024」では、 DIGIDAY[日本版]とゆかりの深いブランド・パブリッシャーのエグゼクティブや次世代リーダーに2023年を振り返ってもらい、2024年に向けてどのようなチャレンジを企図し、次なる成長を実現しようとしているのか伺った。 株式会社JTBにて、執行役員 ブランディング・マーケティング担当 兼 CMOを務める風口悦子氏の回答は以下のとおりだ。
──2023年に挙げたもっとも大きな成果はなんですか。
2023年、JTBは35年ぶりにブランドイメージを一新し、事業ポートフォリオの改革とブランドの強化、両輪での成長戦略を進めています。「期待を超える挑戦を続け、新たな交流時代を切り拓く」姿をブランドのあるべき姿として掲げ、回復から一歩進んで、飛躍へ、多様性に富んだダイナミックなブランドへと進化させようとしています。そのなかで私自身も新たな業界での挑戦を決断したこと、そして大きく自分の視点をアップデートし続けることができたことは私にとって2023年の枢要な成果でもあります。
──2024年に向け見えてきた課題はなんですか。
生成AIをはじめとする新たなテクノロジーの発展により、アイデアの生み出しや実現において、従来の枠を超えた革新がもたらされています。交流が再開し、インバウンドや海外向けのMICEが大きく増加した2023年、オーバーツーリズムや人手不足、持続可能な地域づくりといった問題が明らかになり、テクノロジーの利用は単なる便利なツールではなく、必要不可欠な領域となりました。問題解決のために、マーケター一人一人がテクノロジーに個人的な関心を持ち、学び、倫理感を持って正しく活用できるようになること、多様な顧客のニーズや欲求を深く理解し、それに対応する商品、サービス、そして体験を提供することで、顧客の実感価値を高めることが今後ますます求められるでしょう。
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