乗り越えた“人生最大の18ホール” 涙のリディア・コー「これ以上、望むものはない」
◇パリ五輪 女子 最終日(10日)◇ル・ゴルフ・ナショナル(フランス)◇6374yd(パー72) 【画像】東京五輪で銅メダルを獲得したリディア・コー 表彰台の真ん中に立って味わう国歌斉唱にリディア・コー(ニュージーランド)の涙腺が崩壊した。2016年リオデジャネイロ五輪は、朴仁妃に及ばず銀メダルで韓国国歌を。21年東京五輪では、稲見萌寧とのプレーオフに敗れて銅メダルで米国国歌を聞いた。悲願の金メダルでゴルフ史上初となる3色コンプリートの“メダルスラム”を達成したことに加え、ツアーの殿堂入りも果たした。「非現実的で、物語の登場人物になった気分。これまでキャリアの中でありがたいことがたくさんあった。正直、これ以上望むものはない」と万感の思いだった。 首位タイで迎えた最終日。「これからの18ホールが私の人生で最も重要な18ホールになることは分かっていた」。金メダルを狙って獲らなければならない究極の状況。開幕前から今回が最後の五輪になるかもしれないと繰り返し、半ば退路を断って臨んでいた。
1番でボギー発進しても動じない。チャンスホールの3番(パー5)で取り返し、7番でロングパットを流し込むバーディ。パー5の9番も獲り、バックナインに入って最大5打のリードを築いた。池につかまった13番のダブルボギーで後続との差が縮まっても「あまり不安に思うことはなかった」と振り返る。 4組前を回ったエスター・ヘンゼライト(ドイツ)が通算8アンダーと1打差に迫ってホールアウト。最終18番(パー5)が真骨頂だった。フェードボールで難なくフェアウェイを捉え、80ydほどを残す丁寧なレイアップ。「18番のティショットとセカンドは人生で最も重要なショットの2つだった。この2打をフェアウェイに打てたことで落ち着けたし、そこからはすべてを受け入れることができたと思う」。ウェッジショットで作った2m強のチャンスをしっかり仕留め、後続に2打差をつける通算10アンダーで鮮やかに勝ち切った。