ゴール量産に愛娘誕生…公私に渡り充実の日々を送るドミニク・ソランケ
文 田島 大 忘れられかけた期待の星が、プレミアリーグの舞台で燦燦と輝いている。 チェルシーの下部組織で育ち、若くして世界一に輝いて注目を浴びたドミニク・ソランケは、将来を期待される逸材だった。その後は2部リーグに落ちて平凡な選手に成り下がったかに思えたが、26歳になった今、彼は世界最高峰のリーグで得点王争いをしている。
チェルシーではノーチャンス
U-8世代からチェルシーで育ったソランケはエリート街道を歩んでいた。各年代のイングランド代表でエースとして結果を残し、2014年にはU-17欧州選手権で優勝して得点王に輝くと、2017年にはU-20ワールドカップでイングランドを初優勝に導いて大会最優秀選手にも選ばれた。2014-15シーズンにはチェルシーのU-21チームで驚異の「41ゴール」を叩き出した。それでも、ファーストチームでのチャンスは限られた。 率先的に若手を起用する今のチェルシーとは違い、当時のチームは若年層の才能こそ集めるも、トップチームでは起用しなかった。「今のチェルシーは違うけど、当時はトップチームへの道が見えなかったのさ。ほぼ誰もファーストチームに上がれていなかったので、自分も難しいと思った。アカデミーからトップチームへのステップアップは本当に大きいのさ」とソランケは英紙『The Times』で明かした。 だからソランケは7歳から過ごしてきたチームを離れる決心をした。2017年、クラブから契約延長のオファーを提示されながら、それを断って契約満了とともにリバプールに移籍したのだ。おかげでソランケは2人の偉大なストライカーを間近で見ることができたという。チェルシーの英雄ディディエ・ドログバと、リバプールでゴールを量産し続けるエジプト代表FWモハメド・サラーだ。 「試合よりも練習の方が多くを学べた」と、ソランケは一流プレーヤーと過ごした日々を振り返る。彼らのプレーを真似しようとは思わなくても「咄嗟に彼らのプレーが出ることがある」という。だがリバプールではサラー、サディオ・マネ、ロベルト・フィルミーノの強力3トップの牙城を崩すことはできず、2019年1月に新たな挑戦に踏み出してボーンマスへ移籍した。