REDLINE完結 主催者とバンドが伝えた「Do It Yourself」の誇り
「REDLINE ALL THE FINAL」が終わって3週間が経った。 いまだに余韻に浸っている。何に一番あてられたかというと、イベント全体の雰囲気だ(自分が参加したのは2日目のみ)。入れ過ぎじゃないかと思うほどみっちみちの大観衆によってほどよく荒れたフロアは、他のイベントであれば何かしらの大きな問題が起こっていたような気がするし、実際、この日も小さないざこざはあったはず。しかし、自分の行動さえ間違えなければ非常に快適に過ごせる空間だった。それだけ「わかってる客」が多かったんだと思う。観客の95%は2日目の出演バンド関連のマーチを身に着けていて、全体的に特定のバンドに偏っていない。あと、なんとなく、変な方向に浮かれた観客はものすごく少なく感じた。現代のパンク・ハードコアのカルチャーの匂いが充満していた。みんなこのシーンを愛しているんだと肌で感じた。 【写真をすべて見る】REDLINE ALL THE FINAL(12/8) それが確信に変わったのは早かった。オープニングアクトの次、実質1バンド目の出番となるcoldrainの時点で、あのどデカい9ホールから溢れるくらい人が集まっていたのを見たからだ。日曜朝10時半からこんなに人がいるものなのか? しかも、メインステージとなるREDLINE STAGEとBEGINNING STAGEは終日こんな状態。ROTTENGRAFFTYのときにはホールからはみ出した場所でリフトをしている観客が何人もいた。サブステージ的な立ち位置のBODY STAGEとSOUL STAGEでは、時折メインステージの煽りを受けていた時間帯もあったようだけど、基本的にどのバンドも観客に求められていた。これは需要と供給のバランスが完璧だったということだ。 ちなみに、REDLINEプロジェクトの首謀者はKTRだ。2010年以降、彼はJMSのいち社員という立場で、“限界を超え、すべての境界線を無くすことを目的とする活動体”を目指し、様々な視点を持ちながらこのプロジェクトを続けてきた。このラインナップも彼だからこそ実現した。特定のサウンドに偏らずに幅広く。それでいて主催者の趣味や色がしっかり感じられるとは思わないか。今の日本で「REDLINE ALL THE FINAL」と同様のフェスを開催できる人間は彼以外ひとりもいないと断言できる。 こんなにも稀有なイベントながら、各出演者はMCで彼に変に阿(おもね)ることなく、まっすぐに感謝を伝えているのが見ていて気持ちがよかった。BODY STAGEのトップを担ったCrystal LakeはKTRに対して常に恩義を感じているバンドで、彼との付き合いは10年以上になる。ギタリストのYDはMCで「REDLINEのおかげで今がある」「REDLINEとともにクリスタルはある」とフロアに向けて彼らの絆を伝えた。本当はもっと言いたいことはあっただろうが、その想いすべてを音に詰め込んでいた。だからこそ、彼らのステージはやたらと感動的だったのだ。