REDLINE完結 主催者とバンドが伝えた「Do It Yourself」の誇り
音楽のカルチャーを繋ぐためのフェス
通常、ライブレポートを書くにあたって、いろいろとメモをするのだが、この日に限ってはメモ帳を見返してもそこにはほとんど何も残されていなかった。ピュアに日本のヘヴィミュージックシーンの素晴らしさに感動していたんだと思う。 話は前後してしまうが、FACTへの熱狂はものすごかった。自分は危険を察知して早くからフロアの後方付近で待機していたのだが、時間が迫ってくるにつれて大量の観客が濁流のようにホールに注ぎ込まれてきたのには参った。ライブがはじまってからも曲が終わるごとに濁流が発生。巻き込まれないように必死に堪えた。しかも、あまりの人だかりにステージの様子をうかがうことはまったくできず、ステージとステージの間に設置されていた巨大スクリーンの欠片をたまに捉えることができる程度だった。だからこそと言うべきか、このバンドへの熱量を身をもって感じることができた。 バンド同士が臨機応変にステージを行き来するのも楽しかった。前述したほかにも、Paleduskのステージがはじまってすぐに、約15分後にREDLINE STAGEでのライブを控えていたCrossfaithのKoieが飛び入り。まさかの登場に思わず時計を見た。さらに今度は、ライブを終えたばかりのPaleduskのKaitoがさっきのお返しとばかりにCrossfaithのステージに登場。余計な言葉は交わさず、音で会話をする姿勢が渋い。そういえば、昨年開催された「NEX_FEST」にて、自分たちのライブが終わった直後にメインステージにBRING ME THE HORIZONが控えているというタイミングで、「(ブリングミーが待つNEX_STAGEへ)走って行け!」と叫んでいたPaleduskのKaitoだったが、この日はCrossfaithが待つREDLINE STAGEへ走って行けとは言わなかった。「15分後に会おうぜ!」というKoieの言葉に焦った彼は、「行くな! 行くな!」と慌てて連呼。あの伝説的な一日の伏線回収のようで笑った。 ああ、こういうフェスが増えてほしい。正直、これでREDLINEが幕を下ろすことに不安を感じている。この場所がなくなってしまったら、いったいシーンはどうなるんだろうか。それぐらい素晴らしい一日だったんだ。でも、あの日あの場に居合わせた若者がまた、新しいシーンを立ち上げるんだろう。音楽のカルチャーはそうやってバトンが渡されていくのだ。その一方で、KTRの今後の動きにも注目していきたい。
Daishi "DA" Ato