REDLINE完結 主催者とバンドが伝えた「Do It Yourself」の誇り
RIOT STAGEの特別感と親密感
クリスタルもそうだったのだが、「カルチャー」という言葉を使うバンドが目についた。YDは「みんながひとつになってリスペクトし合う、これがパンク・ハードコアのカルチャーでしょう!」と叫んだ。AFJBのステージからも「イケてる奴がいるところからカルチャーは生まれていく」という言葉が聞こえてきた。最近、国内では音楽フェスが乱立していて、そのほとんどが商売っ気の強いものだったり、人気のあるアーティストを集めりゃいいんだろうという思惑が透けて見えたり、そうでなかったとしてもいつメンだらけで、タイムテーブルを見た時点で腹がいっぱいになることが多い。そのせいで、音楽の場所が増えるわりに、カルチャーが感じられる機会はそれに比例していない。だからこそ、この場所では血液レベルで自分が興奮しているのを余計に感じた。 幕張メッセでは数多くのフェスが行われているが、REDLINEが特別な存在になったのはRIOT STAGEがあったことがかなり大きい。ここは、サブステージのある11ホールの真ん中に設置されている360度ステージ。フェスでは非常に珍しい形だ。ステージの大きさは初台WALLぐらいだろうか。メンバー、機材、数名のクルーが乗ればもうパンパンという状態。2日目に登場したのは、FOR A REASON、SPARK!!SOUND!!SHOW!!、SHADOWS。それぞれがそれぞれのやり方でこのステージを活かし、バンドが目指すものを観客も尊重しながら暴れ狂っていた。 1組目として登場したFOR A REASONでは、「みんなで全員野球するぞ!」という呼びかけのあとから滝のようなステージダイブが発生。COUNTRY YARDのSitやPaleduskのKaitoも飛び入りし、フロアは完全に混沌としていた。しかし、危険な場面はなく、ぐっちゃぐちゃなのにピースフルという不思議な光景が生まれていたのは、その中心に立っていたのがFOR A REASONだからだろう。 「ダンスとつくものすべてを肯定しにきました」というスサシでは雰囲気が変わり、混沌としながらもダンスフロア的な遊び場になっていた。音と呼応して自分たちの居心地のいいようにフロアを変えていく群衆が素敵だった。そう、RIOT STAGEで繰り広げられたライブは、「自分たちでこの場所を作る」という性格が非常に強かった。FOR A REASONは巨大なライブハウス、スサシはクラブ、最後のSHADOWSは海外の倉庫みたいな雰囲気だった。どれもほかでは経験したことのない時間だった。これこそがフェスで味わいたい非日常感なんだ。 SHADOWSはその前にFACTのライブを終えていたこともあり、これもまた異常な興奮に包まれていた。それによって、パフォーマンスもこの日、この時間にしか生まれ得ない奇跡のようなものになった。これはあくまでも主観だが、RIOT STAGEの3組を観ただけでもこの日幕張に来た意味があったんじゃないかと思ってしまう。わけわかんないぐらい興奮した。