効果は抜群…。強いカリスマ性を持つ人々は「名前呼び」で相手を“圧倒的に惹きつける”【イェール大学経営大学院助教が解説】
注目の対象を自分ではなく「他者」へシフトする
注目の対象を自分から他者へシフトするための簡単な方法のひとつが質問です。謙譲表現を質問に置き換えてもいいですし、相手のことについて尋ねてみるのもいいでしょう。 人はみな自分の話をしたがるものだということは誰でも知っています。ですが、自分語りをしたいあまり、見知らぬ人たちに取るに足らない情報を伝えるために、金銭を支払うのも厭わないとは驚きです。 自己開示(セルフ・ディスクロージャー)のもたらす満足感について研究する神経科学者ダイアナ・タミルは、自分語りが金銭やセックス、チョコレートと同じ脳領域を活性化することを発見しました。だからこそ、私たちは質問をしてくれる人を好ましく思うのです。 一連の実験で、参加者は報酬をもらって他人についての質問に答えるか、無償で自分に関する質問に答えるかの選択権を与えられました。質問の内容はささいな事柄でしたが、自分についての質問に答えるという行為自体が楽しいので、参加者はもらえるはずだった報酬の約20%を諦めてまで、スノーボードが好きだとか、ピザにのったマッシュルームが大嫌いだとかいったことを伝えるほうを選びました。 自分の話をするのはとても楽しいので、私たちはこちらの話をうまく引き出してくれる人を高く評価します。アリソン・ウッド・ブルックスらの研究から、知り合ったばかりのときには、質問をたくさん投げかける人のほうが好印象をもたれ、お見合いパーティでも次のデートにこぎつける確率が高いことがわかりました。 また、相手の返答に関連した質問をさらに重ねると、深い関心の証と解釈されて、好感度がさらに増しました。ただし、質問者をより好意的に捉えたのはその質問に答えた人だけで、その場にいたほかの人たちはそうでなかった点は注目に値します。
相手の名前を「いつもより頻繁に呼ぶ」だけ
このような親近感から親密な関係に発展する可能性はあるのでしょうか? この答えは、アーサー・アーロンとエレイン・アーロンの設計した研究に見つかります。 彼らの実験で、参加者は2人一組になって交互に36の質問をしました。質問は「夕食に招くとしたら誰ですか?」のような簡単なものから始まります。その後は次第により個人的な内容に変わっていきます。「最後に泣いたのはいつですか?」といったように。そして実験の最後に、2人は黙ってお互いに注意を集中させます。一言も発することなく、4分間見つめ合うのです。ただ注意を向けるだけです。 この実験に参加したペアのうち、一組が結婚したと伝えられています。とはいえ、あなたはここまでやる必要はありません。相手の名前をいつもより頻繁に呼ぶだけで、注意を自分の外側へ向けることを思い出せるのですから。これはまず、あなたの潜在意識に向けた効果的な合図となります──自分ではなく、相手の話だよ、と。そしてもちろん、相手の注意を引くためにも役立ちます。なにしろ、自分の名前が呼ばれることには、眠っている者をも起こすほどの力があるのです。 デール・カーネギーは早くも1938年に、名著『人を動かす』を物して、相手の名前をうまく活用するように勧めています。神経科学はその後、各人の名前には自分への言及に反応する脳部位を活性化する特異な性質があることを裏付けてきました。 私のことね。彼は私に注目しているわ! 上の階に住むケヴィンが、会話をするたびに相手の名前を何度も何度も口にするのを聞いて、私はデール・カーネギーを思い出しました。「やあ、ゾーイ、元気でやってるかい、ゾーイ?」 彼は検眼士で、街中の人と知り合いのようでした。私たちは彼のことを“市長”と呼んでいて、 どんなときでも彼に会うと心が和みました。名前を連呼するなんて変わった癖だし、そのことでケヴィンをからかったりもしましたが、その効果は抜群でした。私たちはみんな彼が大好きでした。それは、彼が私たちに好意を抱いていると感じるからでもありました。誰に聞いても、親しみやすく陽気でおどけたケヴィンは、高いカリスマ性があると口を揃えて答えたでしょう。
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