「エリザベス女王杯の勝ち馬」に共通する条件は?“今年注目すべき2頭”を紹介
先週はアメリカでブリーダーズカップ。そして地方競馬ではJBCと盛り沢山でしたが、中央競馬に関してはG1がおやすみ。しかし、今週のエリザベス女王杯からは年末のホープフルSまで毎週G1が開催されます。年末まで楽しみが続きますね! 今回の記事ではG1連続開催の初戦「エリザベス女王杯」について解説していきます。幸先の良いスタートを切って、年末まで走り切りましょう! ⇒【写真】2018年エリザベス女王杯の勝ち馬リスグラシュー
中距離以上の牝馬限定戦で序列が覆る理由
エリザベス女王杯は京都競馬場芝2200mで行われます。そして、牝馬限定戦において2200mという距離はオークスの2400mに次ぐ長さ。実は、エリザベス女王杯攻略においてこの点は非常に重要となります。 牝馬重賞の多くはマイル戦を中心に組まれており(距離区分は人によって若干の解釈の違いはありますが)、中距離となる2000m以上のレースはわずか7レースしかありません。そのため、基本的に牝馬はマイラーとしての適性が高い馬が出世しやすい傾向があります。 牝馬クラシック路線を例に挙げると、阪神JFからチューリップ賞、桜花賞まではすべて1600mで行われ、一度決まった序列の変化はあまり起きませんが、桜花賞から2400mのオークスになると一気に上位入線馬の顔触れに変化が生じます。今年こそ桜花賞とオークスの上位の顔ぶれに変化は少なかったですが、2023年は桜花賞2~3着とオークス2~3着は別の馬でした。 距離が変われば当然、求められる適性が変わってきますので、中距離戦では中距離に適性が高い馬が好走します。しかし、前述の通り牝馬路線は基本的にマイルを中心に組まれているため、マイラーが出世しやすい環境ができ上がっています。そうすると一気に距離が延びるエリザベス女王杯で中距離の適性が足りずに敗れてしまうというわけです。
過去の勝ち馬に共通する“中距離実績”
実際に、過去の勝ち馬を見ても中距離実績がある馬ばかり並んでいます。 2014年の勝ち馬ラキシスは、新馬戦から徹底して2000m以上を使われたザ・中距離馬。2013年に甲武特別、鳴滝特別と牡馬相手に2200mのレースで勝利すると、格上挑戦の身で挑んだエリザベス女王杯で2着に好走しました。翌年は1600mのヴィクトリアマイルで15着と大敗するも、2200mのオールカマーで2着に好走して挑んだエリザベス女王杯で前年のリベンジを果たしました。 2018年の勝ち馬リスグラシューは2歳時に1600mのアルテミスSを制し、阪神JFでも2着に好走。3歳時も桜花賞2着などマイル路線で活躍していましたが、馬体重が引退時でも460kg台と小柄な馬で、むしろステイヤーとしての資質の方が高いとさえ見えました。 結果的に、2018年のエリザベス女王杯を制した後は中距離馬として完全覚醒。宝塚記念、コックスプレート、有馬記念と3連勝で引退しています。 2019年、2020年連覇のラッキーライラックはデビューから4連勝で阪神JF、チューリップ賞などマイルで活躍しましたが、古馬になってからは1800mで取りこぼし。オークス3着の実績があるように古馬なってからは中距離への適性が開花し、エリザベス女王杯連覇だけでなく香港ヴァーズ2着や大阪杯1着など牡馬相手の中距離戦でも結果を出しました。 ラキシスやラッキーライラックのように、エリザベス女王杯はリピーターが活躍するともよく言われますが、これもマイラーが多い牝馬の中で数少ない中距離馬が連続して好走しているという事を示した結果でしょう。 以上から、今年も注目すべきは中距離実績なのです。この観点に基づき、今年の出走馬から2頭の注目馬を挙げたいと思います。