「ふるさとの味なくなる」全国的な”手作り漬物”の廃業の一方で熊本では影響小さい理由 【6月1日改正食品衛生法】
食品会社などが工場で作るものではなく、道の駅などでおなじみの個人の生産者が作る「手作り漬物」について、実は今、ある岐路に立たされていて、「漬物クライシス」と言われている。 【画像】新たに勉強する漬物生産者
6月1日実施「食品衛生法の改正」
背景にあるのは、6月1日から完全実施される「食品衛生法の改正」だ。これにより漬物を製造し販売するためには、「営業許可」が必要になる。 許可をとるためには、自宅とは別の専用の調理場を設け、レバーやセンサー式の蛇口を備えなければならないなど、設備改修が必要になる生産者もいて、これを機に漬物づくりを辞めてしまう人が相次ぐ事態が全国的に報道されている。 まず訪ねたのが、熊本・氷川町の「道の駅 竜北」だ。メロンやスイカなど、氷川町でとれた農産物や総菜などが並んでいるが、漬物の売り場の棚はガラリと空いている。手作り漬物は品薄が続いているという。まさに「売り場から漬物が消えた」という状況だ。 「道の駅 竜北」には個人の漬物生産者として、50代から80代の9人が登録しているが、そのうち1人が今回の法改正をきっかけに5月いっぱいで辞めるという。 道の駅竜北・大川聡志郎館長: わざわざお金をかけて設備を改修する(ことが)自分の年を考えるとなかなかそこまでやるのは、お金の面でももちろん厳しいけども体力面でも厳しいと話していた また、このほかの生産者も原材料費の高騰などで、今は一時的に漬物づくりを見合わせているそうだ。 道の駅竜北・大川聡志郎館長: 6月1日から法改正されるというところで、「あの生産者さんはどうするんだろう?」「この生産者さんはどうするんだろう」っていうようなところで、いろんな生産者さん同士が様子見されているっていう一面もある
辞める生産者がいる道の駅は5カ所
熊本県内にある道の駅すべてに問い合わせたところ、回答のあった33カ所のうち「食品衛生法の改正の影響で生産者が1人以上減る」と答えたところは5カ所だった。 熊本県健康危機管理課・笹岡奈々主幹: 熊本県の場合、もともと漬物の製造業者は県の条例で許可を取って製造していた。一応の製造所は皆さん持っているので大規模な改修というところまでは必要ないということで、大きな混乱は起きていないと聞いている 今回の食品衛生法の改正は、これまで地域によってばらつきがあった漬物の製造ルールを全国で一律にしようというものだ。法に基づいた営業許可をとるために、設備改修が必要になる生産者もいて、全国的には漬物づくりを断念する人が相次いでいる。しかし、熊本県の場合は以前から県の条例で厳しい衛生管理をしていたので「生産者が相次いでいなくなる」という事態は起きていないという。