【ロング鼎談……?】小池貞利(the dadadadys)×橋本薫(Helsinki Lambda Club)×モリタナオヒコ(TENDOUJI)
(ついに小池到着) 小池 すみません、遅くなりました! ――ふたりにはもうたっぷり話してもらいました(笑)。 小池 信頼しているおふたりを招いて、お話ができるということで。あまり外にも出ず、メンバー以外の人とも滅多に会わないので、マネージャーから企画を聞いて、とても楽しみにしていた、んですが……ちょっとメールを見ておらず。 モリタ ひどいよ! でもいない時にたくさん喋れたんでよかったです。 ――サダくんにとってふたりはどういう存在なんですか? 小池 なんか手放しで尊敬できる感じはあります。唯一。ナオさんは年上だしね。俺の話してもいいですか? 今の俺の年代ぐらいって、ちょっとメタ世代というか、物事を俯瞰して見るクセがあると思うんですよ。 橋本 うん、そう。 小池 だからナオさんくらいまでいくと、もしかしたらそういう観点もあるかもしれないけど、もっと突っ切れるタイプだと思うんです。でも俺とか薫はちょっと恥ずかしがり屋で、「これやってる俺ってどうなんだ」みたいな、常に第三者の自分がいるから、たとえば結構前だと明るいスカパンクとかメロコアが流行った時期もあったけど、そういうネアカみたいな感じにもなれないし、かといって、足元ばっかり見るシューゲイザーみたいな、ザーザーノイズ鳴らすみたいな、そこまでネクラでもないし、って言う。どっちにも振り切れないから、薫とはそう言う部分で近い距離でいられる。 橋本 確かにそれは腑に落ちましたね。そういう世代っちゃそういう世代かもしれない。 小池 で、ナオさんはどっちかというと、そういう面もありつつも強き者の方としているっていう。年齢もあるし、そこに引っ張られるところもある。人間的にはそういうところで尊敬できるし、音楽的には語ればいろいろある。 ――ライバル心みたいなのもある? 小池 ないかな。どうだろう。 橋本 (モリタは)ライバルだって言ってたよ。 モリタ まあでも、どうだろう……(笑)。 橋本 いざ本人が来ると(笑)。 小池 まあ、バンドの友達を増やしたいわけじゃないから。群れたいわけじゃないし、嫌なんですよ、俺、なんか身内で手繋いで楽しむみたいな。地元の時はそういうのもあったけど、そういうのが嫌だし、ちゃんと好きな人としか喋りたくない。だからそういう意味ではライバルではないけど、振り切って仲良くなりたいっていうか……居心地がいいっていう表現がいちばんいいのかな。俺は友達だとは思ってますけど、一緒に腕組んで踊るみたいな友達ではないっていう。 橋本 そこの感覚は近いかもしれないですね。 ――そんな感じでヘルシンキもTENDOUJIも10年やってきて。サダくんもtetoから数えたら再来年くらいで10年ですよね。 小池 でも1回終わってますからね。 モリタ 今2年生くらいでしょ? 小池 まだまだまだひよっこです。楽しくやってますけどね。いろんなバンドがどうしても視界に入るじゃないですか。なんか、視界に入るバンドにもっとドキドキしたいなって。やっぱり刺激がほしいんですよね。 ――10年やってきた中でヘルシンキやTENDOUJIは変わったと思いますか? 小池 変わりました? 年齢くらいじゃないですか。年齢で得られるものが変わるくらい。 ――サダくん自身の変化はどうですか? バンドも変わり、曲も変わったと思いますけど。 小池 うん、経年変化。最高だなあと思ってます。「今がやっぱり最高だなあ、もっとこれが早くできてたらな」って思うけど、それはもう歳とか経験もあるからしょうがないんだろうなって。 橋本 うん。30を超えてから――。 小池 自意識が下がるとか。 橋本 自意識は明らかに下がってるし、やっぱり視野が広がる。いろんなもののバックグラウンドとかに今までより深く思いを馳せることが増えたんで。だから最終的に外側の部分が柔らかくなっていってるなあと自分では思いますね。 小池 俺は逆にどんどん強くなっていく。許せるものが増えるかなと思ってたんですけど。 ――そうはならない? 小池 許そうとは思ってますけど、自分も含めて。 橋本 許すものが増えるというか、関心持つものはちょっと減ったかもしれない。 ――ああ、定まってきますよね。自分が好きなものとか心が震えるものっていうのが。 橋本 逆に音楽以外の部分で、わりと広がりがいろいろ出てきたなって感じはしますね。10代とか20代の頃は「俺は音楽しかない」ぐらいの気持ちでいたんですけど、今は、音楽はやるんですけど、日常のいろんなものがより多面的に結びつくような感覚が出てきました。 ――どっちもありますよね。広がっていろいろなものと結びついていく面と、どんどん頑固になっていくという面と。 小池 やだ、頑固親父じゃん。気をつけよう。 モリタ 俺、歳とって怖がられたら絶対ダメだと思ってる。かわいいオヤジになっていきたい。 ――モリタくんはかわいいオヤジになっていきそうな感じもしますよ。 モリタ そうなれたらよいですけど、孤独じゃないと信じてます。たまには外に出てね、ちゃんと。