【ロング鼎談……?】小池貞利(the dadadadys)×橋本薫(Helsinki Lambda Club)×モリタナオヒコ(TENDOUJI)
――サダくんとはUKに入ってから出会ったんですか? 橋本 そうですね。UK入って2、3年してからtetoが来たのかな。 ――当時のサダくんとかtetoってバンドに対してはどういう印象でした? 橋本 どこまで遡ろうかな。最初、TENDOUJIの元マネージャーから音源を送ってもらったんですよ。それを聴いたときに衝撃を受けましたね。それこそTENDOUJIを聴いたときみたいな感覚で、「これたぶん俺好きなやつだな」とか「なんか気が合いそうだな」みたいな感覚があって、ライブもすぐに観に行って。ライブも覚えてますね。サダちゃんがまだ固まってなかった。 ――そうなんですね。 橋本 その時はギターの山崎(陸/tetoの元メンバー)とかがMCでガンガン喋ってて。 モリタ そうなんだ。 橋本 なんかすごいいびつな感じだったんですけど、それもその時は新鮮に、面白く映りましたね。激しさはその時からありましたけど。 ――モリタさんはどうですか? モリタ 俺は一時期めちゃくちゃサダちゃんとケンカとかもしてたんですけど……最初に俺らのイベントとか出てくれた時にはもういろんな人が観に来てて、勢い半端じゃないなみたいな感じでした。これはあいつがいないから言えますけど、いちばんやりたくないバンドでした。脅威というか、「こいつらとやるの、なんか嫌だな」って思ってた。毎週のように飲んでて、いろんな話をしたんですけど、最後はだいたいケンカっていうか、「お前はクソだ」みたいなことをお互いに言い合うみたいな感じでした。いちばん意識してたかもしれないですね。たぶんあいつは口が裂けてもそうは言わないかもしれないけど、俺にとってはスペシャルなバンドではありますね。 ――それはなんでケンカになるんですか? モリタ なんか言い合いになっちゃうんですよね。最近はそこまでではなくなりましたけど、最初は「なんで俺ら飲んでんだろう?」ってぐらいケンカしてた。なんかもうね、お互い負けたくないんですよ、とにかく。もう屁理屈の重ね合いみたいな。でも、それもちょっと的を射ているみたいなところもあって。 橋本 お互いちょっと本質突いちゃうんだ。 モリタ だからたぶん、TENDOUJIがtetoを誘って東京キネマ倶楽部でやったりしたんですけど、出番前とかあんまり喋らなかった気がする。 橋本 バチバチだね。 モリタ バチバチっていうか、絶対なんかカマそうと思ってるんだろうなって。そこまで思ってるかわかんないですけど、「こんなイベントめちゃくちゃにしたろ」ぐらい思ってたんだと思う。それはお互いにそうで、俺がtetoのイベントに出たらそうだったと思うし。あいつ、キネマ倶楽部の2階からダイブしてましたからね。マジで無茶苦茶してんじゃねえか、みたいな。でも俺の中ではそういうやつがひとりしかいなかったんですよ。自分と同じマインドっていうか。それは俺と薫くんの共通しているところとはまた違うっていうか。パンクっていうか、品がないですね。本当に品がない(笑)。 ――確かにこの3人って、それぞれふたりずつは通じ合うところがあるんだろうなってわかるんですけど、3人集まると合ってるのか合ってないのかよくわからないみたいなバランスですよね。 モリタ 薫くんとサダちゃんもすごく合うんですよ。でもそれは俺とはまた違う合い方なんだと思う。 橋本 俺は逆に1回もケンカとかしたことないし。 モリタ でもあれだよね、ギターロックみたいなのがやっぱりみんな共通して好きなんだと思うんですよね。ガレージロックとか。俺らの世代ってちょうどリバティーンズとかストロークスとかが爆流行りしてて、それは抜けない。時代が変わって、シーンもめっちゃ変わるけど、あるよね、どこかに。 橋本 そういう根っこの近さはあるってことなんですかね。 ――でも、それこそそういう2000年代のロックを吸収してアウトプットしていくというときに、3バンドとも周りの同世代のバンドたちとはまったく違う出し方をしているじゃないですか。そのへんはどう見てるんですか? モリタ いやー、マジでみんなすげーなって思いますよ。「そうだな」って思うんですけど……あれですよね、同世代のシーンとかってことですよね? ――そう、シーンっていうのがなんとなくあるじゃないですか。 モリタ ありますね。 ――でもTENDOUJIもヘルシンキもthe dadadadysも、そこにいないと思うんですよ。 橋本 そうですね。 モリタ いないっすねえ。 ――そこが似てるんですよ。バンドとしてのあり方が面白いなって。 橋本 あと、ちょうど僕らが出てきた2013年、2014年あたりって、ちょうどインディーのシーンが入れ替わってきてるというか、シーンがない状態だった気がするんですよね。2010年前後まではandymoriとかそこら辺の世代とかシーンがあって、そこから空いて2014~15年らへんからシティポップとかの流れが来る。その狭間だったんで、あんまり混ざり合わなかった感じはもしかしたらあるかもしれないですね。みんな何していいかわかんないっていう(笑)。