【南シナ海で中国の新たな妨害活動】強化すべき「中国不法行為」の訴えと、フィリピン支援
南シナ海における中国のフィリピンに対する妨害活動について、リチャード・ヘデリアンが、2024年9月9日付のローウィ―研究所のサイトで、フィリピンの「透明性イニシアティブ」は大きな成功を収めているが、パートナー諸国は支援を強化する必要があると論じている。 中国海警はセカンド・トーマス礁の近辺でフィリピンの海軍艦艇に嫌がらせをやってきたが、今度はサビナ礁の近くでフィリピンの巡視船の間に割り込もうとしている。中国海警の巡視船はフィリピン沿岸警備隊の巡視船に何度も体当たりした。 争いとなっている海域における優越性を示そうと、中国は南沙諸島に最大規模の艦隊を停泊させている。1カ月前には、人民解放軍の空軍がスカボロー礁の上空でフィリピンの哨戒機を威圧したこともある。スカボロー礁はフィリピンの 排他的経済水域(EEZ)内に位置するが、2012 年に睨み合いの末、中国の実効支配に帰した。 中国の不法で過剰な力の行使を繰り返しあぶり出したフィリピンの「透明性イニシアティブ」は相当大きな成功を収めている。最も顕著なのは、セカンド・トーマス礁の事実上の海軍基地として意図的に座礁させた揚陸艦 Sierra Madraを要塞化したことである。サビナ礁の近辺における中国の最近の行動はフィリピンによる再度の軍事要塞化の成功に対する恐怖から生まれたもののように思われる。 けれども、フィリピンも大きなコストを支払っている。中国の蝟集戦術と「ミッション・キル」戦術によってフィリピン兵が負傷したこともある。 従って、鍵となる同盟国、特に米国と日本は、巡視船、高速艇、退役した軍艦を含め、実際的で効果的な支援を迅速に提供する緊急の必要がある。さらに、中国の「グレーゾーン」戦術に対する抑止の失敗が際立つ米比相互防衛条約を見直すべき時である。
フィリピンは、「透明性イニシアティブ」の誕生で、中国の不法な振る舞いを明るみに出して国際世論に訴えようとした。この政策は中国のアプローチを劇的に変えることには失敗したが、重要なことは、国内世論を動員することにより、中国の偽情報工作とともに有力者による親中のナラティブを脇に追いやったことである。 米比両国は、米比相互防衛条約の下における義務について適切な見直しを始めるべきである。特に、中国による「グレーゾーン」戦術を包含し得るよう「武力攻撃」の敷居を再検討すべきである。両国は「最後の手段」として共同のパトロールと補給ミッションも考慮すべきである。 前途は危険である。両国を巻き込む望みもしないエスカレーションの可能性は常にある。しかし、明らかなことは、フィリピンは鍵となるパートナー諸国と共に、モメンタムを維持し南シナ海の侵略者を追い払うために戦術的・ロジスティクス上の大きな調整を必要としていることである。 * * *