【飯塚事件】“再審の扉”またも開かれず 専門家に聞く「妥当」「門前払い」 地裁による証拠開示の勧告を検察は拒否→法整備の議論を 福岡
それでは、今回の決定を専門家はどのように受け止めたのでしょうか。 刑事訴訟法に詳しい九州大学大学院の豊崎七絵教授です。 ■九州大学大学院 法学研究院・豊崎七絵教授 「門前払いされた。中身に入って何か実質的な検討をしているわけではなく、信用性がないというところで切られていますので。」 第2次再審請求で弁護団が新たに示した2つの証言が「門前払いされた」と批判しました。 裁判所は、当時どのように捜査が進められたかを細かく検証すべきだったと指摘します。 ■豊崎教授 「もう少し、捜査の過程をきちんと見る必要があったと思いますし、当時の捜査が本当にどういう形・経緯で、誰に警察はアクセスをして何を聞いていたかということが、時系列できちんと明らかにしていく必要があったと思うのですが、 証拠開示に検察官も最終的には応じず、裁判所も最後は粘らず、こういう形で決定が出てしまったというのが一番大きいかなと思います。」
元裁判官という経歴を持つ法政大学大学院の水野智幸教授は。 ■法政大学 法科大学院・水野智幸教授 「私の受け止め方は(確定判決を)揺るがすまでに今回は至らなかったんだというところだと思うんですね。全体として、いま持っている記憶が本当に正しいのか、疑問が残るんだというところは妥当な評価かなと思いました。」 新証拠を検討した結果として再審請求を退けたのは、「妥当」だと見ています。その一方で。 ■水野教授 「今回、(裁判所が)一覧表の証拠開示勧告をしたが、検察が応じなかったというのは遺憾なことだと思います。」
再審請求審の過程で、福岡地裁は弁護団が求めた証拠一覧の開示を検察に勧告しましたが、検察は拒否していました。 水野教授は再審制度のあり方を、法整備も含め議論すべきだと指摘します。 ■水野教授 「いま、法律がない状態ですので致し方ないというのであれば、 きちんと法律を作って開示されるような方向で、全体として評価・検討することが一番大事かなというふうに思います。」 弁護団は即時報告の方針です。
【関連記事】
- 【詳しく】裁判長「女性の証言は信用できない」「捜査機関が無理やり女性の記憶と異なる調書を作成したとは考えられない」男性の証言も「信用できず」 「飯塚事件」再審=裁判のやり直しを認めない決定 福岡地裁
- 【飯塚事件】第2次再審請求の行方①新たな証拠「白い車に女の子2人が」 弁護団は何を訴えてきたのか 福岡
- 【飯塚事件】第2次再審請求の行方②最大の争点 最後の目撃者が証言を覆す「警察に押し切られた」 元刑事「聞いていないことを書くはずがない」検察「信用できない」 福岡
- 【飯塚事件】第2次再審請求の行方③DNA型鑑定 一部を切り取った鑑定写真 証拠能力を事実上否定 福岡
- 【飯塚事件】第2次再審請求の行方④状況証拠の柱「紺色ワゴン車」の“詳しすぎる”目撃証言 「これで有罪を出すんですか」福岡地裁は5日に可否を決定へ