【飯塚事件】“再審の扉”またも開かれず 専門家に聞く「妥当」「門前払い」 地裁による証拠開示の勧告を検察は拒否→法整備の議論を 福岡
2つの「新証拠」の信用性を裁判所がどう判断するのか。 審理を担当した鈴嶋晋一裁判長は5日、男性の証言について「事件から26年以上経った今でも、面識のない女の子2人の顔をはっきり覚えているのは不自然」と指摘しました。 女性の証言についても「捜査機関が無理に記憶と異なる調書を作成する動機、必要性は見いだせない。女性の証言は理由なく変遷している」として「2人の証言は信用できない」と結論づけ、再審請求を退けました。
またも開かれなかった“再審の扉”。弁護側は。 ■飯塚事件弁護団・岩田務弁護士 「新旧の証拠を真摯に検討する姿勢を放棄したものというほかなく、裁判所としての使命に反するものである。」 ■徳田弁護士 「我々が予想した最悪のパターンだった。この証言の価値を認めて再審を開始することが、我が国における死刑制度の根幹を揺るがしかねないという思惑に縛られて、人間としての良心に基づく貴重な証言の価値を認めようとしなかった。 きょうの決定はこれに尽きる。」 一方、捜査にあたった福岡地方検察庁は「裁判所が適切な判断をされたものと考えている」とコメントしています。
あれから32年。2人の幼い命が奪われた事件の真相は本当に明らかになったと言えるのでしょうか。弁護団は決定を不服として、来週月曜日に即時抗告することにしています。
今回の判断の焦点となった、弁護側の2つの「新証拠」について、改めてまとめました。 1つは“最後の目撃者”とされた女性が「事件当日は見ていない。記憶と異なる調書が作られた」という新証言です。 これについて、福岡地裁は「捜査機関が記憶に反する調書を作る動機、必要性が見いだせない。供述を変遷させていて信用できない」と指摘しました。 もう1つの新証拠は、事件当日、被害女児に似た2人を乗せ、元死刑囚とは外見が違う男が運転する車を見たという新たな目撃証言です。 これについても福岡地裁は「不自然で信用できない」と指摘しました。 そして、この2つの「新証拠」について、いずれも信用性を否定して、元死刑囚が犯人であるという結論は揺らがないとしました。
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