資さんうどん通が「うどんの前」に真っ先に食べるメニューとは?
● 主力メニューが関東人の口に合わなければ 東京進出は失敗する 実はコメダを訪れる関東の住民は、コメダといえばモーニングと、驚くほど大きいサンドイッチメニューと、居心地のいい硬めのソファのお店だと認識しています。加えて言えばデザートのシロノワールがとてもおいしいお店という印象でしょうか。 もちろんメニューにあるみそカツパンや小倉トーストも怖いものみたさで注文してみるのですが、別にそれを注文しなくても主力メニューは関東の食生活に十分適応したものになっています。 これは世界の山ちゃんでも同じです。主力メニューの幻の手羽先は、単純に東京人が食べても美味しい料理であり、かつ、スパイシーだという点ではむしろ時流に乗っています。そしてそれ以外の居酒屋メニューで普通に居酒屋として楽しむことができます。わざわざみそ串かつを注文する必要などありません。 ココイチに至っては、別にこれが愛知県発祥かどうかは関係なく、普通のカレー屋さんとして東京でも一番おいしいと感じられるチェーンです。 一方で寿がきやの場合、先割れスプーンで食べる白湯スープのラーメンですが、そもそも麺は東京のラーメンとして考えると柔らかすぎるし、スープはシンプルすぎます。確かに安いという特徴はありますが、安くて美味しい東京ラーメンなら日高屋や幸楽苑に行けばいいと東京人は思います。 あんかけスパも同じで、スパゲティをそもそもあれだけ大量のラードで炒めて、それに胡椒たっぷりの甘酢餡をかけるというのは、奇抜すぎて初見でNGの人も少なくないはずです。 いずれ何かで火がついて独自のブームが起きるかもしれませんが、普通の東京の主力メニューにはなりえない料理です。結局、そこが関東進出できるかどうかの差を生むのです。
● 資さんうどんの看板商品は 「牛丼」を連想させる では、資さんうどんはどうでしょう。同じ基準で考察すれば、資さんうどんの場合、おでんやとろろ昆布やぼた餅のことはそれほど真剣に心配しなくてもいいでしょう。 基本視点として、主力メニューの「肉ごぼ天うどん」が東京でもヒットするかどうかだけを考えれば進出できるかどうかの判断ができます。 その意味では、あの割りばしほどのサイズのごぼうの天ぷらが5本入っているという独自スタイルは、資さんうどんのスペシャリテとして関東の食通にも驚きをもって受け入れられるでしょう。衣は香ばしく、中身のごぼうは柔らかくて美味しいのです。 そして玉ねぎとともに甘く煮込んだ牛肉は、牛丼を食べ慣れた世代には自然に受け入れられるトッピングです。さらにうどんつゆは関東で普通に食べるどこか懐かしい味付けです。 実はすかいらーくグループで独自にこのうどんつゆを化学分析したところ、人気のラーメン店とうま味成分が同じだという分析結果が出たそうです。つまり、つゆも私たちが食べなれた味。 ということは一番の主力メニューは北九州ローカルではなく、東日本で販売しても美味しいと関東ローカルの消費者が感じる料理にもともとなっているのです。