『あのちゃんねる』小山テリハ氏、番組を守り続けて異例の地上波復活 あのちゃんとの“物語”で受ける刺激とリスペクト
■関わった人全員に信頼される加地倫三EP ――制作者としての師匠は、先ほどからもお名前が挙がっている加地さんですね。 企画が作られていくまでのプロセスや演者さんの生かし方など、『アメトーーク!』で番組作りの全てをゼロから学ばせてもらいました。加地さんは、誰かが主役になるよりも、結果としてみんなが活躍できるようにバランスもすごく気にしてるなと思うんです。一方で、芸人さんたちも『アメトーーク!』の反響はすごいし、加地さんに対して信頼を持って頑張ってくれる。自分がプレゼンする漫画やテーマをどう面白く伝えるかという責任感もあるから真剣に打ち合わせしていて、制作者と演者さんが一緒に作っているスタイルもすごくいいなと思います。 特に加地さんは、スタッフと演者さんの両方から信頼されていると思います。大げさかもしれないけど、自分のチームだけでなく、関わった人全員に信頼されているのを感じますね。自分のコンテンツだけでなく、テレ朝全体を、業界をもっと良くするためには、という広い視点でいろんな物事を考えていて、なおかつ『アメトーーク!』や『ロンハー』で次に何をやろうかと考えていて。それでずっと現場に立って、いまだにオフライン(編集)もして、そんな忙しさの中でも私の番組を見て毎回アドバイスをしてくれる面倒見の良さも含め、改めてすごい人だなと思います。超人です。 ―― 一体いつ寝てるんだ!?みたいな感じでしょうか。 でも、オン・オフはしっかりしてるんです。みんなが休みを取りやすくなるように、加地さんが最初に「ここ休むから」って明示してくれるので、そういうところもすごいなと思います。
『イワクラ吉住』終了は「わが子を亡くした」くらいのショック
――この秋は、『イワクラ吉住』が終了して『あのちゃんねる』が地上波復活するというご自身にとって大きな節目だったかと思います。『イワクラ吉住』は思い入れのある番組だと思いますし、先ほどお話しいただいた冨樫先生の奇跡もありましたし、終了というのはどのように受け止められたのでしょうか。 『バラバラ大作戦』とか『スーパーバラバラ大作戦』って本当に競争がすごくて、半年ごとにちゃんと全部の番組がふるいにかけられるんです。そんな中で、深夜にあのトーンでやってた番組が2年半もやれたことは、まず本当にありがたいなと思います。ただ、時間帯が上がるとより戦いが激化して、そこで戦うために別のことが求められて、やらなきゃいけないことがいっぱいあって、ファンの人たちに申し訳なかったなと思うと同時に、難しいなってすごく思いました。番組を終わらせないための戦いって本当に体力を使うんだなと。 私にとって、自分が立ち上げたレギュラー番組が終わるという経験が初めてだったので、こんな気持ちになるんだ…とも思いました。自分で産んだわが子を亡くしてしまったくらいのしんどさがあって、何か月も飲み込めなくて。そういう諦めが悪い部分があるので、テレ朝でやってるポッドキャストで復活できないかなとか、どこかやれるところがないか勝手に探してます(笑) ――その一方で、『あのちゃんねる』は『バラバラ大作戦』1期生としてスタートし、その後CS、YouTubeと場所を変えて続けながら、今回地上波レギュラー復活という極めて異例の再出発となりました。まず、あのちゃんとはどのように出会ったのですか? 一緒に地下アイドルをやっていた子が、(アイドルグループ・)ゆるめるモ!に加入するというのでデビューライブを見に行ったら、そこで新メンバーとして一緒に踊っていたのがあのちゃんだったんです。ゆるめるモ!の曲もパフォーマンスもすごく良くて、友達が入ったということもあって、そこからどんどんゆるめるモ!に箱推しでハマっていくんですけど、あのちゃんって当時から変で(笑)。MCとかでもポツンと言った一言がもうキレキレで面白くて、ライブパフォーマンスも目を引く異端な存在。動物的で衝動のままに生きているような危なっかしさもあって、どうしても気になっちゃうんですよ。 そんなゆるめるモ!と一緒に仕事がしたいと思って、大学生の時に文化祭で講義してライブしてもらって、ホームパーティーのデカい版みたいなイベントもやりました。私がしょっちゅうライブにいたから、あのちゃんも何となく私のことをメンバーの友人として認知してくれていたんです。 それからテレビ局に入って、『出川とWHYガール』であのちゃんに密着したら、出川さんも「変な子だな」って面白がってくれていたので、その後『バラバラ大作戦』の最初の企画募集があったときに、あのちゃんで企画書を書いてみたら、なぜか通って(笑) ――当時は、『水曜日のダウンタウン』(TBS)の「『ラヴィット!』の女性ゲストを大喜利芸人軍団が遠隔操作すれば、レギュラーメンバーより笑い取れる説」でブレイクする前ですよね。 放送枠は、『さまぁ~ず論』『かまいガチ』の後という並びで、異物的に入ってて(笑)。『バラバラ大作戦』のイベントがあったときも皆さん「あのちゃんはじめまして」って感じでした。たぶん、『バラバラ大作戦』が始まる時だったので、雑多な企画が集まる中で、ラッキーなタイミングで入れたんだと思います。でも、ティモンディの高岸(宏行)さんを迎えた初回のOAが結構パンチがあって、当時の制作部長が「『あのちゃんねる』みたいなおかしい番組作れ」と言ったという逸話が浸透するくらい評判になってました。