「完全にアウト」「類人猿は先住民?」と疑問殺到で大炎上したMrs.GREEN APPLEの新MV「コロンブス」。謝罪は迅速かつ的確なのに、なぜ公開に至った?
レーベルと所属事務所の謝罪文には、「レーベル・事務所双方の責任を認める」「問題点を具体的に認識している」といった特徴が見られ、これも直後のコメントとしては、おさえるべきポイントをおさえていると感じる。 また、大森さん自身の言葉で、改めて経緯説明が行われることで、表面的な謝罪のみならず、「MVに込めていた意図」「制作上に懸念があったこと」「その懸念を拭うべく行った対策」「しかしながら、結果として『何を連想させるのか』の配慮に欠けていたこと」などが示されたことも大きい。
グローバル企業であるコカ・コーラの対応も、比較的早いと言えるだろう。MVの事前確認をしていなかったとなると、炎上して初めて対応を考えたことになる。すでに広告展開しているなか、楽曲使用を取りやめるという判断は、費用面でも重いはずだ。それでもなお「即日中止」を決めたのは、出稿継続がそれだけ大きなリスクだと判断したからだろう。 ――と、ここまで一連の経緯を振り返ってきた。炎上後の対応が比較的適切に思えるからこそ、より際立ってくるのが、「なぜこのMVが公開に至ったのか」だ。謝罪文での大森さんの言葉を借りると、「意図と異なる形で線で繋がった時に何を連想させるのか」について、関係者全員が想像できなかったとすれば、悲しいかな「クリエイター集団としての敗北」と言わざるを得ない。
あらゆる歴史的文化への配慮は、いまやクリエイティブ表現に携わるうえで、なくてはならない要素だ。日本国内でも、その文脈から問題視された事例が、過去にいくつも存在する。 たとえば2016年には、アイドルグループ「欅坂46」の衣装が、ナチス・ドイツの軍服に似ているとして、アメリカのユダヤ系団体が抗議。運営側は「認識不足」を認めて謝罪し、総合プロデューサーの秋元康氏も「ありえない衣装でした。事前報告がなかったので、チェックもできませんでした」としつつ、監督不行き届きだったと謝罪した。