最も成功したジャンプ漫画の実写化は? ベスト映画(5)再現度が高すぎる…原作ファンが絶賛したハマり役は?
1969年の創刊以来、長年にわたって子どもたちに夢を与え続けてきた『週刊少年ジャンプ』。60年以上の歴史の中には、アニメ化や実写化がされた人気作品も多々ある。そこで今回は、同雑誌に連載された漫画を実写化した作品を5本紹介。驚異の再現度の秘密を徹底解説する。第5回。(文:編集部)
『シティーハンター』(2024)
監督:佐藤祐市 原作:北条司 脚本:三嶋龍朗 キャスト:鈴木亮平、森田望智、安藤政信、華村あすか、水崎綾女、片山萌美、阿見201、杉本哲太、迫田孝也、木村文乃、橋爪功 【作品内容】 新宿歌舞伎町。「XYZ 妹をさがしてください」というメッセージを受けた凄腕の始末屋(スイーパー)冴羽獠(鈴木亮平)は、相棒の槇村秀幸(安藤政信)とともに、有名コスプレイヤー・くるみの創作に向かう。 ちょうどその頃、新宿では謎の暴力事件が多発し、警視庁の敏腕刑事・野上冴子(木村文乃)も手を焼いていた。そんな中、突然起こった事故で槇村が命を落としてしまい―。 【注目ポイント】 貫禄たっぷりの幕末志士から冷酷非道なヤクザの若頭、果ては頭にパンツを被った正義の味方まで、身一つでどんな役にもなり切るカメレオン俳優、鈴木亮平。そんな彼の凄みを堪能できる作品が、2024年9月に公開された。Netflix映画『シティーハンター』だ。 原作は、1985年から1991年まで連載された北条司の同名漫画。監督を、『六人の嘘つきな大学生』(2024)の佐藤祐市が務める。 さて、本作の最大の特徴は、先にもいったように、主人公の鈴木亮平のビジュアルだ。『シティーハンター』の世界観に完全にハマった鈴木のビジュアルに、公開前から胸を躍らせていたファンも多いことだろう。 特に、主人公冴羽獠が、「もっこりちゃんの歌」を口ずさみながら、新宿のビルの屋上から冴羽が偵察を行うシーン。原作にもみられるこの「おバカとクールの絶妙なバランス」は、『HK 変態仮面』で変態仮面を演じた鈴木でしか演じられなかったことだろう。 そして、『シティーハンター』といえば欠かせないのが、ハードボイルドな神業ガンアクションだ。 漫画では、相手の銃身に銃を撃ちこむ、弾丸に弾丸を撃ちこむなど、数々の離れ業を披露した冴羽獠。本作の鈴木も、卓越した身体能力でワンホールショット(弾痕に銃弾を撃ちこむ技)をはじめとした数々のアクションをものにしており、原作ファンの期待に見事に応えている。 なお、鈴木は、小学生以来の筋金入りの『シティーハンター』好きで、インタビューでは「この仕事をやるんだったら、いつかは冴羽獠を演じられたらいいなとは思っていました」と語っている。そういった意味で、本作は、鈴木亮平のキャリアの集大成と言っても過言ではないだろう。 また、本作には、もう1人注目すべき「カメレオン」がいる。それが、槇村香役の森田望智だ。 『全裸監督』(2019、Netflix)の黒木香役から、『虎に翼』(2024、NHK総合)の花江役まで、変幻自在の演技力で観客を魅了する森田。正直、そのビジュアルは鈴木ほどは似ていない。しかし、動き始めるや、途端に「槇村香がここにいる」としか思えなくなるから不思議だ(なお、森田は、本作のオファーが来るまで、シティーハンターを読んだことがなかったというから驚きだ)。 『シティーハンター』が傑作たり得た理由。それは、ひとえに鈴木と森田という「カメレオン」の賜物なのだ。 (文:編集部)
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