ずっと「殺さないで」と懇願…男性を何十回も殴った強盗団「アドレナリンが出た」 玄関を開けた瞬間襲撃「ぞっとした」 襲った無職22歳に懲役11年 誘った仲介役は唯一の友人、実家が隣同士「決別する」
19歳の男が証人尋問で「頼りないが面白い人」と話すなど、実行役の人間関係の中で、男は年下の共犯者らより低い立場だったとみられる。22年10月の茨城県坂東市の強盗事件では、指示役から「現金を裸で置いている」と情報を得た住宅に侵入。男が物音を聞き逃げ出し、実行役4人全員が車に戻った。その後、再度侵入するが、男は車に一人で残され、報酬も4人の中で最も少なかったという。 実行役らは家の外に逃げる被害者の男性を追いかけ、別の実行役の男=逮捕当時(17)=が「上半身を何十発か殴った」。その後、男性に金品を要求したとし、男は「アドレナリンが出た。お金のことを聞いているのに、ずっと『殺さないでくれ』と言っていた」と振り返った。検察側が読み上げた調書で、被害男性は、強盗による恐怖とともに、「(暴行による)痛みが引くまで農業の仕事が再開できず、栽培したネギが出荷できなかった」と経済的な損害も訴えた。 男は22年11月の川口市の強盗事件で、住宅に保管されていた現金約500万円を見つけるなど、主体的に関わった様子もある。被告人質問で、実家が隣同士だった仲介役の男の他に「友達がいなかった」とし、「絡んだことが人生の汚点だった。二度と関わらない」と語った。
■抵抗したら殺されたかも(以下、論告求刑公判記事) 2022年に埼玉県、茨城県で6件の強盗や窃盗事件を起こしたとして、住居侵入、強盗致傷などの罪に問われた茨城県日立市、無職の男(22)の裁判員裁判の論告求刑公判が21日、さいたま地裁(小池健治裁判長)で開かれた。検察側は懲役17年を求刑し、弁護側は懲役8年が相当と主張して結審した。判決は27日に言い渡される。 論告で検察側は、6件の事件について「組織的かつ計画的で、被害者に強い恐怖や金銭的損害を与える粗暴な犯行」と非難。「強盗の報酬を高級スーツや旅行の費用に充てていた」と常習性を指摘し、「昨今、社会問題化している強盗事件について警鐘を鳴らす必要がある」と厳罰の必要性を強調した。 また、22年11月に川口市の住宅に押し入り、現金約500万円を奪った事件では、ガムテープで縛られる暴行を受けた住人の男性=当時(23)=が被害者参加制度で出廷。「抵抗したら殺されていたかもしれないと思うとぞっとする」と振り返り、「被告に謝罪の気持ちは見受けられず、恐怖や怒りが収まらない。最大限重い処罰を希望する」と述べた。