こだわりのクレープ販売、20歳の店長・中川和音さん 地産地消で東京・葛飾に恩返し TOKYOまち・ひと物語
「学び育った地元に店を出したい」 こだわりの素材で作ったクレープを販売する「ナカガワクレープ亀有店」(東京都葛飾区)の店長は、昨年高校を卒業したばかりの中川和音さん(20)だ。地域密着をモットーに、こだわりの材料で、健康に優しいクレープを作り続けている。 ■早く現場へ 江戸川区で生まれ育ったが、令和2年4月、農業や食品について学べる都立農産高(葛飾区)食品科に入学。農業から食品の加工まで、食について一から学んだ。高校2年の3月には、食に関わる仕事をしたいと考え、千葉県市川市のクレープ店でアルバイトを始めた。 視野を広げるために大学進学も考えたが、「早く現場でやってみたい」という気持ちが強かった。父、英明さんの会社の一事業として、高校3年の10月、「ナカガワクレープ東新小岩本店」(葛飾区)をオープンした。 休日はもちろんのこと、平日も授業が終わるとお店へ向かった。高校を卒業し、昨年11月には、葛飾区亀有に2号店を開いた。2つの店舗をはしごして、午前11時から深夜2時まで働くこともあったという。 葛飾区にこだわるのは、「店の宣伝方法など、地元の人にアドバイスをもらいながら頑張ってきた」から。「その恩返しをしたい」とはにかむ。 ■農家まで出向き 生地には国産小麦の全粒粉、不純物を取り除いた良質なバターである「ギー」を使用。ギーに至っては、自ら店で煮詰めて製作するというこだわりぶりだ。 時には農家まで直接出向き、食や農業について話をすることもあるという。 葛飾区の「柴田観光農園」からブルーベリーやキウイを仕入れ、クレープに使用したこともある。 サラダ系のクレープに入っているのは、高級焼肉店でも提供されている、水耕栽培のレタス。栄養価を高めることができ、虫の被害を受けないのが水耕栽培の特長だ。 一番人気のメニュー「ホントノチョコバナナホイップ(700円)」などには、3種類をブレンドして甘すぎないようカカオ分58%に調整した「ホントノチョコレート」を使っている。 ■「存在を知って」