知ってる? 加入必須な「自賠責保険」の運用益の使い道とは
自賠責保険の運用益はさまざまなところで人の役に立っている!?
クルマやバイクに乗るすべての人が加入を義務付けられている自賠責保険は、事故に遭った被害者を救済することを目的とするものです。 【画像】自賠責保険の運用益の使い道を画像で見る(10枚) 当たり前に納めているこの自賠責保険ですが、「事故が起きなかった場合のお金はどうなるのだろう」、「運用益は何かに使われているのだろうか」など、疑問に思ったことがある人も多いのではないでしょうか。 自賠責保険は保険会社が契約者から保険料を預かり、被害者に支払うまでに時差が生じます。その間、保険会社には一定の資金が滞留しますが、この滞留資金を運用して得た利息が「運用益」です。 そんな、自賠責保険の運用益は何に使用されているのでしょうか。
自賠責保険の保険料は「ノーロス・ノープロフィットの原則」に従い、利益や損失を出さないように収支が調整されています。そのため、保険会社はこの運用益を全額準備金として積み立てなければなりません。これは、自動車損害賠償保障法により定められた義務です。 そして積み立てられた運用益は、将来の自賠責保険の収支改善のための財源となるほか、交通事故の発生や被害の削減に繋がることが期待される事業や研究、そして被害者保護のための事業支援などにあてられています。 この事業は「自賠責運用益拠出事業」と呼ばれています。自賠責運用益拠出事業の代表的なものとして、事故防止対策事業や事故被害者のサポート事業などが挙げられます。 そのほかにも、運用益を使っての救急医療体制の整備支援や、医療の発展が期待できる医療研究などの研究費の助成もおこなわれています。
具体的な内容としては、まず事故防止対策事業には、子どもの発達段階に応じた交通安全教育の研究や、飲酒運転防止のための啓発、そして高齢者のための安全運転、健康診断を呼びかける交通安全教室の実施などがあります。 ほかにも、警察への交通事故防止用機器の寄贈や、研究所や大学などの交通事故防止に関する研究にも活用されています。 次に、事故被害者へのサポート事業について。被害者救済に重点を置く自賠責保険は事故に遭った被害者の怪我や障害などを補償するという本来の目的だけでなく、自賠責運用益拠出事業においても被害者保護のための支援に力を入れています。 たとえば交通遺児への支援や、被害者やその家族の心のケアを目的とした活動のほか、事故によって障害を負った被害者の介護をする家族への情報提供の場として、講習会や勉強会なども開催しています。 さらに、事故で家族を亡くした遺族の悲嘆(グリーフ)に寄り添う人材を育成するための、グリーフケア人材養成講座の開講といった取り組みもおこなわれています。