センバツ高校野球 東海大相模、打線爆発 石田完封、14奪三振 /神奈川
第93回選抜高校野球大会第9日の29日、東海大相模は福岡大大濠(福岡)に8―0で勝利し、第90回大会(2018年)以来3年ぶりとなるベスト4進出を決めた。序盤から打線が爆発し、門馬功(3年)の2ランなどで三回までに7点を奪い、投げてはエースの石田隼都(同)が3安打、14奪三振の完封。主将の大塚瑠晏(るあん)(同)不在という危機を乗り越え、投打ががっちりかみ合った。準決勝は大会第10日の31日、第1試合(午前11時開始)で、10年ぶりの決勝進出をかけ天理(奈良)と対戦する。【宮島麻実、荻野公一】 2番打者で内野の要の大塚が急性胃腸炎で欠場。門馬敬治監督は試合前、「一人一人が無理をせず自分の持っている力を出して、彼が戻るまで戦い抜こう」と伝えた。チームのバランスが崩れてもおかしくない危機だったが、代わりに出場した選手がカバーした。 まずは2番に入った綛田(かせだ)小瑛(3年)。一回、チーム初安打となる二塁打で出塁すると、そこから三回まで3打席連続安打を放ち、序盤の猛打の立役者となった。「とにかく後ろにつなぐことを考えていた」。チームのテーマでもある「つながる」を体現してみせた。 一回に綛田を本塁に還したのは小島大河(同)の中越え三塁打。「取られるか取られないかぎりぎりだったので、『抜けてくれ』と思って走った」という一打が、貴重な先制点となった。スタンドで見守った父の真路(まさみち)さん(50)は「主将がベンチ入りしていない中でなんとか先制点をとりたいところだった。うれしいし、よくやってくれた」と青いメガホンを周りの保護者とたたいて喜んだ。直後に百瀬和真(2年)の適時打も飛び出し、幸先良く2点を先取した。 大塚の代わりに遊撃手を務めた深谷謙志郎(同)は甲子園初出場。二回の先頭打者で右翼線に二塁打を放ち、大量得点の足がかりを作った。「自分の後ろに良い打者、頼りになる先輩がいる。どんな形でもいいので塁に出ることを意識してボールに食らいついた」。守備でも一回の併殺を含め、危なげなく打球を処理。試合後は「大塚さんの代わりは自分にはまだ力不足。とにかく『大塚さんを次の試合につなぐんだ』という気持ちでやった」と話した。 今大会初先発となった石田は三塁を踏ませなかった。「一球一球コースに投げ切れた。力まず腕を振れた」。これで今大会は17回を投げ無失点と、完璧な投球が続く。 2回戦まで鳴りを潜めていた打線は14安打8得点と復調した。頂点まであと2試合。投打に死角は見当たらない。 ◇後輩24人が声援 ○…東海大相模のアルプス席では、主将代行として活躍した門馬功(3年)が中学時代に所属していた地元の「ヤング相模原ベースボールクラブ」の24人が力強い声援を送った=写真。クラブは岡山県内であった春の全国大会に出場していたが、27日の初戦で敗れたため、甲子園で応援できる機会ができた。キャプテンの佐屋俊多さん(14)は小学6年の時にクラブ体験で当時中学3年だった門馬と一緒に守備練習したのを覚えている。「ホームラン打ってすごいな。高校野球はベンチもスタンドの人たちも一つになって戦っている感じがする」と生き生きした表情で話した。 ……………………………………………………………………………………………………… ■ズーム ◇本塁打でチームに勢い 門馬功外野手(3年) 喉から手が出るほど追加点がほしい場面だった。二回1死二塁、2球目の直球を振り抜いた。ライナー性の打球が左翼席に飛び込んだのを見届けると、右手を突き上げた。3試合目にして初めて、東海大相模のスコアボードに「4」の文字がともった。 試合が始まる直前、主将代行を言い渡された。「副主将の自分がやることは分かっていた」と動揺はなかった。今大会チーム初となる本塁打で、チームを勢いづけた。 1回戦は3点、2回戦は1点と打線が振るわなかったが、「(前の試合は)考えないように」と開き直った。冬の間にウエートトレーニングと振り込みで培った長打力が、大舞台で花開いた。試合後は「これまで投手が自分たちを助けてくれたが、今日は少しだけ野手が助けられたかな」と胸を張った。 無事に主将代行を務め上げ、強豪相手に投打で圧倒できたことに手応えも感じた。「チームとしてのバランスが取れてきた」。強打の1番打者が、名実ともにチームを引っ張っている。【宮島麻実】 ……………………………………………………………………………………………………… ▽準々決勝第2試合 東海大相模 241000010=8 福岡大大濠 000000000=0