日銀・黒田総裁会見3月16日(全文3)非常に効果があると思っている
放置すればリーマン並みの危機が起こる可能性があったのか
テレビ朝日:テレビ朝日の村上と申します。あらためて確認なんですけれども、今、このままの状態を放置すればリーマンショック並みの危機が起こる可能性があったのか、そうではなくて、そういう危機は近くはないんだけれども、そういった状況を招かないために先手を打つ形での今回の措置なのか、そこについての総裁のお考えを教えてください。 黒田:これはリーマンショックと性質が違うということがまず第一ですね。リーマンショックは金融バブルが、大規模な金融バブルが崩壊して、特に欧米の金融機関に大きなショックで破綻の危機というか、実際に破綻した金融機関もたくさんあったわけです。それが欧米の金融機関、特に米国の金融機関は世界の経済取引に重要な影響を及ぼしますので、大変な影響が及んだわけですね。 今回の場合はそれと相当性質が違うんですが、コロナウイルスの感染の拡大というのが中国から始まって、アジア、欧米とだんだん時期をずらしながら続いているということから、それぞれの地域が収束次第、回復するとしても、世界経済全体として一定期間、下押し圧力が続くということがありうるわけですし、それから先ほど来申し上げているように、こういった中で、特に中小企業その他、あるいはサービス業、そういうところが大きな影響を受けて、それが金融的にも問題をはらんでいくということは十分ありうるわけですので。 リーマンショックとは性格が違いますし、リーマンショックのああいう形の場合は、どうしても基本的に長くショックというか影響が続くんですけれども、今回のは、それぞれの地域のコロナウイルスの感染拡大自体は一定期間で収まっていったとしても、それが各地域に伝播していっているということ、それから企業の資金繰りとかそういうものに対する影響は若干残りますので、やはり相当注意して対応していく必要がある。だからできるだけ早期に、必要にして十分なだけの金融的措置を講じる必要があるということだと思います。