性的暴行で起訴の大阪地検元トップ、無罪主張へ 謝罪から一転
部下の女性検事に性的暴行を加えたとして、準強制性交等罪に問われている元大阪地検検事正の北川健太郎被告(65)が一転して無罪を訴えていくことが10日、弁護人への取材で明らかになった。「同意があったと思っていた」などと主張。大阪地裁で10月にあった初公判では「争うことはしません」と述べ、女性に謝罪していた。 起訴状によると、被告は2018年9月12日深夜~13日未明、同僚らとの懇親会後、酒に酔って抵抗できない状態の女性を大阪市内の官舎に連れ込み、性的暴行を加えたとされる。 この日は予定されていた第2回公判が取り消され、裁判官や検察官、弁護人による非公開の協議があった。初公判後、新たに選任された弁護人の中村和洋弁護士らが出席し、主張を変更することを伝えたという。 中村弁護士は協議後に記者会見し、今後の方針を説明した。次回の公判で「女性と同意があったと思っていたから、犯罪の故意がない」と主張すると表明。女性が深酔いしていたことに争いはないが、「抵抗できない状態だったとの認識はなかった」とし、準強制性交等罪が成立しないと訴えることを明らかにした。 そのうえで、被告が起訴内容を争わなかった理由について「事件関係者や検察庁に迷惑を掛けたくないという思いがあった」と述べた。ただ、女性は担当の副検事が捜査情報を漏らしていたと主張。中村弁護士は「情報漏えいなどのあらぬ疑いや組織批判があった。被告は争わない方針が間違っていたのではないかと悩み、記憶と認識に従って主張することにした」と話した。 初公判で検察側は、被告が直筆の書面を女性に渡していたことを明らかにした。「事件が公になれば自死も考えている。大スキャンダルになる」などと口外しないよう求める内容だった。女性は心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され、現在は休職している。【高良駿輔】