<ラグビー>W杯、優勝候補はNZ、対抗は豪州、穴はアイルランド
日本代表と同組の予選プールBにおける有力株は、スプリングボクスこと南アフリカ代表だ。 今年のラグビーチャンピオンシップでは3戦全敗に終わったが、「(本番までの)数週間で面白いことが起きるだろう。ワールドカップでは違うチームになる」とジャパンのエディー・ジョーンズHCは言い切る。2007年、フランスでの第6回大会で同国代表のアドバイザーとして王座についたジョーンズHCは、本番直前のスプリングボクスの巻き返しを警戒する。 精神的支柱は38歳のロック、ヴィクター・マットフィールド。身長201センチ、体重110キロ、110キャップ。文句なしのサイズとキャリアを誇る。一時は引退も昨年に現役復帰し、危機管理能力と空中戦の強さで魅せる。セットプレーと守備に焦点を絞った、手堅い試合運びを下支えする。 ぶっつけ本番での復帰となりそうなのは、スクラムハーフのフーリー・デュプレア。サントリーでもプレーする、接点際の指揮者である。大型選手の揃うフォワード陣の立ち位置や次にすべきプレーを指示しながら、グラウンドの四方八方に目を光らせる。緩急ある球さばきに鋭いランを交え、相手守備網がせり上がってきたらその背後へキック…。 日本代表のウイング山田章仁は、デュプレアの視野の広さを「裏のスペースを見ていないようで見ている」と表現したことがある。相手がただ裏のスペースを見ているのであれば、その気配を察してポジショニングに気を払える。ただデュプレアの場合は、目の前の攻防に集中し切っているように見せかけて「裏」に鋭く蹴り込んでくる…。山田が示したのは、そういうことだろう。ジャパンで同じポジションを務める田中が「世界一」と認めるデュプレアがいるかいないかで、日本代表戦(9月19日、ブライトン)の試合展開も大きく変わるだろう。 今度のイングランド大会は第4回大会以来の英国圏でのRWCとなる。ラグビー発祥の地で繰り広げられる激闘。2019年の第9回大会が日本で開かれることを鑑みても、必見の約1か月半となりそうだ。 (文責・向風見也/ラグビーライター)