<ラグビー>W杯、優勝候補はNZ、対抗は豪州、穴はアイルランド
対抗馬はワラビーズことオーストラリア代表か。指揮官はマイケル・チェイカヘッドコーチ。2014年にはワラターズの指揮官として南半球最高峰のスーパーラグビーで優勝し、代表チームでも好守でまとまりを醸成している。 RWCイヤーの今年は、ラグビーチャンピオンシップ(南半球の強豪4か国での対抗戦)を制覇した。特に8月8日のシドニーでは、オールブラックスを27―19で下している。この時、確かに負けたニュージーランド代表には、無理に自陣から球を回すなど試運転の向きもあったろう。ただ勝った側としては、貴重な成功体験を得たと言える。 仕留め役であるフルバックのイズラエル・フォラウは、大会再注目のヒーロー候補だ。身長193センチ、体重103キロと大柄も、しなやかにスペースを駆ける。大会後はNTTドコモでプレーするとあって、日本のラグビー愛好家からも注目を浴びている。 そのワラビーズと予選同組(プールA)となったのが、開催国のイングランドだ。 欧州勢として初の優勝を果たしたのは2003年、オーストラリアでの第5回大会だった。当時は大柄なフォワード陣がじっくりとボールを保持し、司令塔であるスタンドオフのジョニー・ウィルキンソンが精度の高いキックでスコアを決めていた。手堅い戦法はいまも健在で、かつてウィルキンソンがつけていた背番号10はオーウェン・ファレルが背負いそうだ。こちらもロングキックの名手である。 ただ、欧州で最も注目度の高いチームは他にある。アイルランド代表だ。前回大会でも相手を抱え上げるタックルと力強いスクラムで魅せ、予選プールでオーストラリア代表を下している。 昨今はニュージーランド人のジョー・シュミットHCのもと、さらに力をつけた。今年の欧州6か国対抗戦では66年ぶりの2連覇を果たした。 「ウェールズが協会(代表を統括)よりクラブ(代表選手の所属先)の力が強い一方、アイルランドはその逆。チームがまとまりやすい」 常に世界中のラグビーを見つめる元日本代表フランカーの大久保直弥・現NTTコムフォワードコーチの分析だ。 アイルランド協会はすべての代表選手と直接契約を結び、個々のナショナルチームへの当事者意識を強めている。ニュージーランドと似たような国内事情と知将のマネジメント能力が、うまくシンクロしているのだ。そんななか、ロックのポール・オコンネル主将は「1人軍隊」の謳われる激しさを、フルバックのロブ・カーニーはハイボールへの強さをそれぞれアピールする。