描いて食育 廃棄野菜でクレヨン開発 埼玉県の企業
地元JAと連携
埼玉県富士見市のベンチャー企業、ASTRA FOOD PLAN(アストラフードプラン)は、県産野菜の規格外品などを原料に使った「おやさいクレヨン Japan Blue」の販売を始めた。米と野菜を原料にクレヨンを製造する青森市の「mizuiro(ミズイロ)」と連携して製品化した。 【写真で見る】埼玉県産野菜が原料の「おやさいクレヨン」 アストラフードプランは、行政や企業、埼玉県のJAいるま野などと連携し、「かくれフードロス」の解決に取り組む。野菜の食べられない部分や米ぬか、果実の搾りかすなどを食品で使える粉にする装置「過熱蒸煎機」を開発・販売する。装置内で作った食品パウダーは「ぐるりこ」の名称で商標登録を取得している。 昨年5月、JAグループのスタートアップ(新興企業)支援プログラム「JAアクセラレーター」で両社がつながり、ビジョンが一致していたことから県産野菜をクレヨンに生かすアイデアが生まれた。 JAいるま野や富士見市の農家、食品加工工場などから廃棄予定だったニンジンとホウレンソウ、ゴボウをアストラフードプランが買い取り粉末化したパウダー「ぐるりこ」を、クレヨンの原料としてミズイロに提供する。従来のフリーズドライ製法で粉末加工する乾燥費用よりも低コストで生産効率の向上が見込める。クレヨンの発色の良さも期待できるという。
原料に米ぬかも
「おやさいクレヨン」は1箱10色入りで、オレンジの「にんじん」、緑の「ほうれん草」など、クレヨンに原料の野菜や果実の名前が付いている。 米ぬかから取れた米油とライスワックスをベースに、収穫の際に捨てられてしまう野菜の外葉などを原料に使った自然由来の素材のため、子どもが誤って口に入れても安心だ。 アストラフードプランの加納千裕社長は「これまで利活用できていなかった野菜がクレヨンに生まれ変わって良かった。子どもたちがお絵描きをしながら、食育について楽しく学んでもらえたら幸いだ」と語った。 JAいるま野の亀田康好組合長は「廃棄される野菜の再利用にとどまらず、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献を果たすなど『おやさいクレヨン』は素晴らしい製品だ。JAが抱える課題解決への一助にもなる取り組みだ」と話した。
日本農業新聞