暴力団「工藤会」の本部事務所跡地に「福祉施設」を建設 北九州市のNPOが1億円の寄付を募る
9月3日、北九州市で生活困窮者や孤立状態にある人々を支援する認定NPO法人「抱樸」(ほうぼく)は、市内に新しい福祉施設を建設するための資金として、1億円の寄付を募るクラウドファンディングを発表する記者会見を都内で開いた。
36年間で3759人のホームレスを自立に導く
「抱樸」は1988年に「北九州日雇越冬実行委員会」として発足。2000年に「北九州ホームレス支援機構」に名称を変更、NPO(特定非営利活動)法人の設立認証を受けた後、2014年に現在の名称となった。 理事長は日本バプテスト連盟東八幡キリスト教会の奥田知志牧師。 2024年9月現在、抱樸には2711人がボランティアとして登録されている。36年間の活動を通じて、累計3759人をホームレス状態から自立に導いてきた。また、生活困窮者や子どもや刑務所出所者など幅広い対象への支援事業を29件運営し、厚生労働省などの審議会にも12件参加した活動実績を持つ。
特定危険指定暴力団の本部跡地に救護施設を建設
今回のクラウドファンディングは、救護施設「希望のまち」を建設するための資金を募るもの。 2019年、北九州市小倉北区にあった、特定危険指定暴力団「工藤会」の本部事務所の撤去が始まることが報道される。報道を見た奥田牧師は、土地を購入するため北九州市に相談。2020年2月に事務所の解体工事が完了し、土地は県暴力追放運動推進センターを経て県内の民間企業に所有権が移された後、抱樸が買い取った。 「指定暴力団」は全国各地に存在するが、「特定危険指定暴力団」は全国で工藤会のみ。民間人を狙った銃撃や暴力事件などを繰り返したとして、福岡県公安委員会により、2012年に指定された。 工藤会の存在は、北九州市のイメージや経済に極めて大きな悪影響を与えてきたという。その工藤会の本部跡地に救護施設を建設し、「怖いまち」という北九州市のイメージを払拭することが、「希望のまち」計画の目的だという。 「ただ本部事務所を解体するだけでは、真の意味での『暴力団対策』にはならない。暴力団に加わる人を生み出さないためには、みんなが参加できる居場所を地域社会に作る必要がある」(奥田牧師)