生活保護受給者へのルール「能力に応じて勤労に励む」以外にも求められるものは?
厚生労働省による「生活保護の被保険者調査(令和5年9月分概数)」が2023年12月6日に発表されました。 【生活保護の一覧表】2023年9月に生活保護を受給した世帯数は前年同月比で0.4%増加 2023年9月に生活保護を受給した世帯数は165万1187世帯で、前年同月比で0.4%増加しています。 生活保護は、最低限の生活を保障するための制度ですが、一方で受給者には、行政からさまざまな対応を求められます。 今回は、生活保護を受給中に、どのようなことが求められるかについて解説します。 ※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
生活保護を受けるための条件は?
生活保護は、世帯全員の資産や能力などをもってしても最低限の生活ができないと判断されないと、利用できません。 具体的には、以下の項目が要件として問われます。 ・資産の活用:預貯金や生活に利用できない土地・家屋を売却して生活費に充てる ・能力の活用:働くことが可能な場合は、その能力に応じて働く ・あらゆるものの活用:年金や手当など他の制度で給付を受けられるなら活用 ・扶養義務者の扶養:親族等から援助を受けられる場合は援助を受ける 収入が厚生労働大臣が定める基準で計算される最低生活費に満たない場合、差額を保護費として支給します。 生活保護は事前の相談が必要なので、まずは地域の福祉事務所に事前相談をしてください。 その後、以下の項目について調査が行われます。 ・家庭訪問等の実地調査 ・預貯金、保険、不動産等の資産調査 ・仕送り援助の可否 ・年金などの社会保障給付、就労収入の調査 ・就労の可能性 上記の項目に基づいて申請が認められれば、生活保護費が支給されます。 では、生活保護が支給された場合に、行政からどのようなことを求められるのでしょうか。 生活保護を受けている間の義務について確認します。
生活保護受給中の義務とは?
生活保護を支給された人は、さまざまな義務が課されます。 具体的な項目は、以下の4つです。 ・譲渡禁止 ・生活上の義務 ・指示等に従う義務 ・届け出の義務 それぞれの義務について確認しましょう。 ●譲渡禁止 譲渡禁止は、生活保護を受ける権利を、他人に譲り渡せません。 個人の受給権を他人に譲渡しないようにしましょう。 ●生活上の義務 生活上の義務は、能力に応じて仕事に励んで、健康の増進や節約を図ることが義務付けられています。 具体的には、以下の項目です。 ・生活の無駄をなくして向上に努める ・用途を指定した保護費は確実にその用途で使う ・働ける人は仕事を探して働く ・病気やけがで働けない人は医者の指示に従って治療に専念する ・自動車の所有や借りて使用できない ・生活保護を受給中に借金はできない 働ける人は仕事を見つけて探す以外にも、節約や健康の増進など、日常の生活面で守らなければいけないルールがあります。 ●指示等に従う義務 指示に従う義務は、自分自身の力で生活できるように努力して生活を安定させる義務があります。 また、福祉事務所からの指示や指導を受ける場合は従わないといけません。 厚生労働省が2023年3月31日に発表した「令和3年度被保険者調査」では、行政の指導や指示に従わず生活保護の受給を打ち切られた案件は105件でした。 適切な理由なく指示や指導に従わない場合は、生活保護を受けられない可能性があるので注意しましょう。 ●届出の義務 届出の義務は、生活に関する変化があった場合に福祉事務所に届け出する義務があります。 実際に届け出なければいけないものは、以下の点が挙げられます。 ・収入に関する届出:収入の増減、臨時収入、収入申告書の届出 ・生活に関する届出:就職や転職、入院先や住所の変更、資産申告書の届出 勤労に励む以外にも、収入の増減や資産申告書などの報告が必要になります。 では、生活保護における受給者割合について確認しましょう。