スズキ、将来のEV展開は保留 「市場を注視」 成長鈍化と安価な中国製EVを警戒
「非常に難しい時期」
スズキは、EVへの関心が全般的に鈍化するなか、「市場を注視」しながら将来のEVを保留していると、鈴木俊宏社長が語った。 【写真】オフロード走行も可能な新型SUV【スズキeビターラを写真で見る】 (12枚) 4日発表された新型eビターラを皮切りに、350億ドル(約5.3兆円)のEV投資の一環として、2030年までに計5車種のEVモデルが発表される予定だった。 これらのモデルはすでにシルエットの形で公開されている(画像)。どのセグメント向けかはまだ明らかではないが、Sクロスやイグニスなどと一致しており、一部の主力モデルの電動化を示唆している。 しかし、同社初のEVであるeビターラの発表会で、鈴木俊宏社長は次のEVの発売時期や、2030年までに5車種を発売するという目標がまだあるのかどうかについては明言を避けた。 「BEVの売れ行きが鈍化しているため、現時点では非常に厳しい状況にある」と鈴木社長は述べ、「一方で、中国から手頃で安価なEVが市場に入ってきており、(さらなる)BEVを投入するのは非常に難しい時期だ」とした。 また、「現在の状況を見ると、BEVに対する政府のインセンティブはなくなりつつあり、非常に強力な(セグメント)競争力を持つ中国のEVと相まって、どのようなBEVをどのようなタイミングで市場に投入すべきか、慎重に考えなければならない」と付け加えた。 「eビターラよりも小型」だという次期EVについては、「楽しみにしているとしか言えないが、eビターラの販売がどうなるのか、また市場の動向はどうなるのか、(発売時期を決める前に)注視する必要がある」と述べた。 「状況を見守ると言っても、BEVの開発から離れるわけではない。開発は継続していく」 「しかし、EVだけに集中するつもりはない。インドでのバイオガス燃料のように、他の道筋もある。並行して開発を続けたい」 スズキにとって、年間自動車販売台数の約48%はインドにおけるものであり、同国はカーボンニュートラルに向けた取り組みを進めているが、依然としてエンジン車への依存度が高い。 「スズキとしては、EVだけが唯一の解決策ではない」と鈴木社長は言う。「ハイブリッドはもちろん、eフューエルや、インドでのバイオガスなど、スズキは(多様な)道筋を考えている。多くの選択肢を模索している」
ウィル・リメル(執筆) 林汰久也(翻訳)