初の甲子園狙う春準V・日大明誠 第2シードで迎える夏へ「緊張の場面でやれるか」
同じ練習メニューをこなすことで、チームとしての一体感は出るだろうが、個々の能力を上げていくには、練習の中身にこだわるしかない。 「練習時間は長いわけではないですし、寮を持っているわけではない。だから厳しい練習を沢山やって達成感があっても、強豪校に比べたら練習量は少ないはずです。とはいえ、ある程度の練習量は必要だと思いますので、確保しながらも質を大事にしています。 実際、平日は週4日間を練習に充てていますけど、なかでも週明け月曜日は、練習試合で見つかった課題を取り組む1日にするようにして、中身にこだわっています」 周りのライバルたちは目一杯時間を使って練習をする中、日大明誠は決して長い時間を使えない。この差を埋めるために質にこだわるわけだが、この構図は三好監督の立教大時代と重なる部分があるようで、「当時は早稲田や慶應、明治、そして法政と戦力差があったので、ひっくり返すことを常に考えていました」という。
当時の経験が少し違った形で生きているわけだが、日大明誠は「結局、自滅してしまうと力を出せないまま負けてしまうので、まずは取れるアウトを取れれば、同じ高校生相手なのでチャンスはある」という三好監督の考えのもと、守備力を武器にしている。 実際に冬場は、「たくさんノックを受けましたし、内外野の連携、繋ぎを意識した練習をしてきた」と本馬主将は語り、個々の能力はもちろん、チーム全体の能力を高めてきた。 さらにオフシーズンは個々のフォームにあわせた技術指導を通じて打力向上。また、紅白戦で実践感覚を養うなど、チーム全員が試合でプレーするチャンスを掴みながら、練習を通じて個々のスキルを高め、チーム全体の底上げに繋げた。
第2シードで迎える夏へ、「今度は決勝で勝つ」
その成果が春に生まれた。2回戦・甲府工相手に5対3で勝利した日大明誠。2023年の春や、現3年生たちが1年生大会のときにも敗れていたという相手だったが、守備からリズムを作り、さらに相手がミスしたところを逃すことなく攻めていき、終盤に逆転した。 「練習から大会を意識したことで、緊張せずに守り切れた」(本馬主将) この一戦で勢いに乗り、一気に決勝までのぼりつめ、関東大会の切符をつかんだ。